キャメロン・スミスが毎週3種類のロブウェッジを持ち込むワケ
1月の「セントリートーナメントofチャンピオンズ」で記録的な勝利を収め、3月の「ザ・プレーヤーズ選手権」でも優勝。すでに今季2勝しているキャメロン・スミス(オーストラリア)は世界ランキングを6位に、そしてフェデックスカップのランキングを3位に押し上げた。そして、2020年に大会史上初の4日間連続60台をマークして2位に入るなど、直近4回の出場で3度トップ10入りを果たしているオーガスタ・ナショナルへとやってきた。
「マスターズ」優勝候補リストに名が挙がっていたスミス。その最大の理由はワールドクラスのショートゲームだ。マスターズ前までのPGAツアーにおけるグリーン周りのストロークゲインドは21位で、バンカーショットからホールへの平均距離は4位、そして10～20ydのスクランブリングで6位にランクインしている。
スミスのシンプルなテクニックはアマチュアにもマネできるものだが、今回のエクイップメントレポートでは、道具について掘り下げることにした。
スミスのウェッジと他の大多数の選手のそれとの違いで最も顕著なのは、セットを通してすべてブラック仕上げのものを使用している点である。実際のところ、新しいボーケイSM9ウェッジがブラック仕上げで販売されているのは、スミスに端を発している。彼がこの見た目を気に入っているのは、自らの車への情熱に由来する。
「当時、僕は古くて黒い車にはまっていて、黒いヘッド、黒いシャフト、そして黒いグリップのクラブがあったらとてもクールだと思ったんだ」と、スミスはGolfWRXのポッドキャストで述べている。「すごく完成されていて、見た目がかなりクールなんだ。とても気に入っている」
スミスは頻繁にクラブを変える選手ではないが、ウェッジのこととなると話は変わってくる。いつもグラインドとバウンス角の異なる3本のロブウェッジを持ち込んでおり、最もロフトのあるクラブをコースコンディションにマッチさせるようにしている。
「キャメロンはウェッジに関して、卑怯なくらい才能豊かだね」。ボーケイのツアーレップであるアーロン・ディル氏はGolfWRXに明かした。「というか、彼は全てにおいてうまいのだけど、ウェッジのプレーはとても簡単にやっているように見えるんだ。正直、彼はやることなすこと全てを簡単にやっている。46-10（ロフト46度、バウンス10度）を使っているけれど、我々のPWをとても気に入っているんだ。SM9はオールブラック仕上げ。52-08 Fグラインド、そして56度でバウンスが8度のMグラインドも持っていて、ロブウェッジは3本の中から、プレーするゴルフコースやコースセットアップによって使い分けている」
「彼はK（グラインド）でバウンス6度のもの、10S（Sグラインドでバウンス10度）、そして（ローバウンスの）Tグラインドを持ち歩いている。コースのセットアップにより、どれがバンカーショット、ピッチング、そしてチッピングに最適かを判断し、それを使っているんだ。彼はSM9を実戦投入した最初の週に優勝した。本当に素晴らしいし、我々のやっていることを信じてくれている。ゲームの技術的な部分に関して言うと、普通とは違うものを必要としないんだ。一貫性を重視するので、しかるべき形状のリーディングエッジを望む。彼のウェッジのロフトとライ角は標準的だけど、異なる3本のロブウェッジを持ち歩くことを好むんだ」
オーガスタ・ナショナルでスミスは練習ラウンドでバンカーやグリーン周りの芝を精査し、どのウェッジを使うか判断している。
スミスのウェッジ3本体制には、学ぶところが多い。ウェッジのソール設計がパフォーマンスに多大な影響を与えるということを理解するのは、ゴルファーにとって非常に重要なことである。一般的に、ローバウンスのセットアップは、シャローにクラブを入れるゴルファー、あるいはタイトなコンディションでのプレーに適している。一方、ハイバウンスは、通常、アタックアングルの鋭角なゴルファー、あるいはソフトなコンディションに適している。また、バウンスが大きいほど寛容性は高くなり、インパクトで地面をざっくり削るリスクを減らしてくれる。
次にウェッジを買い替える際は、異なるバウンスやグラインドオプションを色々と試してみるといいだろう。ウェッジのバウンスは最重要という、スミスからの教訓に学ぼう！
（協力／GolfWRX、PGATOUR.com）