2014年 ライダーカップ

PGATOURライターズ厳選・2014年ハイライト(4)ライダーカップの会見場

2014/12/25 06:00

By Mike McAllister, PGATOUR.COM

敗れた米国キャプテンのトム・ワトソン。采配について集中砲火を浴びた(Harry Engels/Getty Images)

記者会見場での好みの席ということになると、私の場合、大概は中ほどから後ろにかけての席である。もちろん、特定の質問が意中にある場合は前の方に座るが、そうでない場合、私は後方に腰かけて、その場の雰囲気を感じ、質問を受ける様々な選手の返答に集中する。

ただ、グレンイーグルスで米国代表が「ライダーカップ」に敗れたとき、私は前方に席を確保する決意を固めた。それは、私がその会見で感情が爆発するのを知っていたからというわけではなく、特に何か質問を用意していたわけでもなかった。しかし、記者会見が賑やかなものになるであろうという予感はあった。加えて、私はただ聞くのではなく、選手たちの質問に答える様子を見たかった。ボディランゲージは、時に返答の正確な意味合いを解読する上での助けになるし、質問が辛辣、あるいは批判的な場合は特にそうだ。

それに、負けたチームの記者会見の方が勝ったチームのそれよりも、常に興味深いものになる。何と言っても、勝者は既にチームメイトたちとその勝利を祝っており、果てることのないシャンパンのボトルは、彼らからわずかながら明晰さを奪い取ってしまう。そこへ行くと、敗者は彼らを居心地悪くする音楽のようなものと対峙しなくてはならない。

「鉄道事故効果」とでも呼ぼうか。起こって欲しくないけれど、起こってしまったら背を向けることはできない。私は米国代表に同情した、それが彼らにとって望むべく経験とはならないであろうことを知っていただけに。

それで私は会見場の上手側の通路を進み、前から2列目の一番端に席を確保した。部屋はじきに満員となり、そこに居合わせたのはアメリカのジャーナリストだけではなかった。海外のメディアも急襲の準備ができていたのである。それはその場の空気から感じ取ることができた。

ついに12人の選手とキャプテンのトム・ワトソンからなる米国代表チームの全員が、私のいた場所と反対側、部屋の下手にあるドアから姿を現した。察するに難くないが、彼らの顔に一切笑みはなく、そこにはそれぞれ違う段階の失望があり、何人かは起こったことがまだ信じられないでいたようですらあった。トム・ワトソンは無表情だった――。

私は、一番端に座った、わずか数メートル前にいるフィル・ミケルソンを真っ向から見据えた。

数分後、彼は質問を受けた。あとはご存知の通りである。

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