米国男子ツアー

旧バージョンを参考に新スイングの構築に挑むウッズ

2014/12/03 14:48
新スイングの構築に挑むウッズは、今週約4ヶ月ぶりの復帰戦を迎える

タイガー・ウッズは少しだけ時計の針を逆に戻そうとしている。少なくとも、ゴルフスイングにおいては。

前コーチのショーン・フォーリーとは、8月に友好的に関係を解消し、先日クリス・コモを新スイングコーチとして招聘した。ウッズがコモを起用した理由は、スイングに関する共通のビジョンを持っていたから。コモとウッズは、元世界ランク1位、メジャー14勝を達成した時のスイングを取り戻すべきと考えている。

つまり、新たな哲学は不要ということだ。

およそ3ヵ月前に開催された昨シーズンの「全米プロゴルフ選手権」から実戦を離れていたウッズだが、12月4日からアイルワースGCで開催される「ヒーローワールドチャレンジ」に出場する。大会前の現地2日に取材に応じ、スイングについてこう語ってくれた。

「新しいものでもあるし、古いものとも言える。ジュニア時代のビデオや、上手くボールを打てていた時代のビデオを彼(コモ)と一緒に見た。古い映像を、注意深く見てみたんだ。まだ線が細くて、痩せていた頃に、どうやってあれだけのパワーを生み出せていたのかを見るのは興味深かった。どのようにして、あれだけのパワーを生み出していたのか、その点に立ち返ったんだ」

2人の研究は、かつてのスイングを収めた多くの映像から1本のテープを探すまでに及んだ。次なるスイング改造では、大幅なオーバーホールは無いとのことで、3人の前任者と共に取り組んだ規模の大改造は行わないという。

「(スイング改造は)もう慣れていることだから、これまでも新しいスイングを手に入れるまで時間はかからなかった。とにかくボールを打って、反復練習しないといけない。特に実戦の場でやってみて、今の状態を見たいから」

最後に実戦の場でウッズを見たのは、バルハラでの「全米プロゴルフ選手権」。ウッズは初日から2日続けて「74」と苦しみ、予選落ちとなった。メジャーで週末を迎えられなかったのは、キャリアでもわずか4回目のことだった。

だが、怪我に泣いた昨シーズンの終わり方としては、適切な形だったとも言える。

昨シーズンのPGAツアーでは7大会にしか出場できず、その内4大会では予選落ちを経験。最終日までプレーできたのは2大会のみで、ベストは予選落ち無しの「WGCキャデラック選手権」での25位タイ。そして、過去3年で2度目となるフェデックスカップ・プレーオフシリーズ進出も逃した。

手術を受け、あまりにも早くコングレッショナルでの「クイッケンローンズ・ナショナル」から復帰したウッズは、当時と今の状態とを比較し、楽観視している理由を聞かれると、「あの時は準備が整っていなかった。良いプレーができなかったし、それは結果が示している。結果に反映されたからね。あまりにも酷いスコアだったから。だから、数ヵ月オフを取って、身体を強くしようと思った。それに、前にも話したように、自分のゴルフスイングをどうするべきかを見つめ直したんだ。昔の身体の使い方を見たことで、どう変わっていけば良いのか、答えは簡単に出た」と答えた。

スイングを進化させようとフォーリーに師事したウッズだったが、結果として2人は袂を分かった。

フォーリーは、ウッズとの関係解消について、今週はじめScoreGolf.comに、こう語っている。

「タイガーから連絡をもらって、私達は心と心を通わせる話し合いをもった。一緒に乗り越えてきたことはわかりあっていた。私は彼の状態を理解していたし、それは彼も同じだった」

「話し合った結果、私達は以前のように必要なコミュニケーションを取り合っていなかったことに気がついた。それに、自分達の友情を危険に晒したくもなかった。私はTW(タイガー)のことが大好きだからね。今でも話をする間柄だし、その点は私も誇りに思える。我々は、直面していた問題に洗練された手法で対処した。そうするのが我々だからね」。

ウッズはフォーリーとの解消について、「ゴルフスイングにおいて実現したいことはあったけれど、僕の身体が言うことを聞かなかった」と説明。結果的に、これがコーチ変更の主な理由となり、新たな方向性としての回帰をウッズに決断させた。

「本当にスイングを変更したいのか、そしてどこに向かいたいのかを自問自答した。数ヵ月考え抜いて、どうしたいかという結論を出した」(ウッズ)

新たな取り組みに身体がついていけるかどうかは、時間が教えてくれる。

2010年以降、ウッズは怪我が原因で7大会を棄権。そして長期欠場を強いられた時期もあった。最後にプレーした時より2キロほど体重も落ちたというが、彼は12月に40歳の誕生日を迎える。

「老いは避けられない。若い頃にやれたことが出来なくなる時がくる」

「もう長距離ヒッターとの勝負はできないね。僕の時代では、290ヤードも飛ばせればロングヒッターだったけれど、今は320から325ヤードが新しいスタンダードになっている。バッバ、ウッディ、ダスティンは325ヤードを飛ばす。彼らはそれだけの距離を稼いでバンカーを越えていくけれど、僕にはそれだけの飛距離はない。でも、ほかにもゴルフコースを攻略する方法はある。それこそ、この競技の素晴らしいところで、齢を重ねてもプレーできる所以。力で相手を打ち負かす必要がないからこそ、高齢になっても勝てる。力で誰かを負かす必要はない。ゴルフコースを打ち負かせれば良いんだ」