R&A、投票で女性への門戸開放を決定
セントアンドリュースのロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフクラブ(R&A)は、もう男性だけのものではない。
同クラブは現地時間18日、会員による投票で女性受け入れに圧倒的な票が集まったことで、長年に渡る男子限定に終焉を迎えた一番新しいゴルフクラブとなった。投票結果は、即時施行されている。
R&Aの責任者であるピーター・ドーソンは「セントアンドリュースのロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフクラブは、男女混合の会員制クラブであることを承認します」と文書で発表。
そして、世界中にいる2,500人のクラブ会員の75%以上が投票し、85%が女性受け入れを支持したとコメントした。また、260年の歴史を持つR&Aが、会員に対して年次業務会議で代理投票による投票を認めるのも初めてのことだった。
さらに、会員は今後数カ月で“大幅な”女性会員増を迅速に行うことに対しても投票。R&Aは、何人の女性会員が招待されるかは明かしていないが、これまでの報道によると15名程度とされている。
「今日は、ロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフクラブの歴史において、大変重要で有益な一日だ」とドーソン。「R&Aは260年に渡ってゴルフというスポーツの役に立ってきたが、今後も男女の会員をサポートしながら、ゴルフを支えて行くと確信している」。
一方、マスターズを開催するオーガスタナショナルGCは、2年前に女性メンバーの受け入れを決定。R&Aとは違い、オーガスタでは女性会員を禁止することを明文化していなかった。そして、元国務長官のコンドリーザ・ライス氏とサウスカロライナ州の投資家、ダルラ・モーレ氏が、初の女性会員となった。
R&Aの会員はオールドコースの1番ホールの後ろにあるクラブハウスに入ることができ、コースではなくクラブに所属。セントアンドリュースにある7つのコースは、パブリックとなっている。
今回の賛成票は、世界中のゴルフ組織、公人、そしてスポンサーから集められた。
英国のスポーツ大臣であるヘレン・グラントは「今回の件は、スポーツにとって素晴らしいニュースですし、同性限定などという時代遅れの方針で運営しているゴルフクラブが、後に続くことを望んでいます」とコメント。「ゴルフが次のオリンピックの種目となっていることは、ゴルフの発展にとって大きなチャンスですし、今回の決定は、ゴルフはみんなのものであるということをアピールする、確かなメッセージになっています」。
R&Aは、米国とメキシコを除いた世界中のゴルフを管理しており、10年前に設立されたゴルフルールの管理や、「全英オープン」をオーガナイズしその他の商務を運営するビジネス部門の「The R&A」とは独立している。しかし、R&Aには女性従業員がいる一方で、委員と役員はクラブ会員で構成されており、ゴルフを管理し、また競技を運営する場面で女性のリーダーシップが発揮されていないのだ。
そんな中で、2013年に「全英オープン」が男性会員しかいないミュアフィールドで開催されると、R&Aへの圧力は増した。スポンサーのいくつかでさえ、女性を締め出す100年前の方針に不快感を覚えていた。
「R&Aのパートナー、そして長期に渡るゴルフに対する国際的なスポンサーとして、今回のニュースを心から喜んでいます」と語るのは、HSBCでスポンサーシップ&イベントのグローバルヘッドを務めるガイルズ・モーガン氏。「HSBCは、レベルを問わずゴルフの発展に取り組んでおり、それは、さまざまな価値観と女子ゴルフへの支援への姿勢でもあり、我々の国際的なゴルフのポートフォリオの基礎なのです」。
「2015年も、新時代のスタートを約束する、この成功を収めているセントアンドリュースでの協力関係を続けることを楽しみにしています」。
「全英女子オープン」は2007年以降、セントアンドリュースで2回開催されているが、大会期間中は、出場選手がクラブハウスに入ることを許されていた。
LPGAは文書で「LPGAはセントアンドリュースのロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフクラブの会員が女性会員を迎えることに賛同したことを伺い満足しています」とコメント。「この決定は、間違いなくしかるべき方向へのステップであり、現在の多様性と私たちの素晴らしいゴルフの一体感をより良く形にしたものです」。