コーチと離別 ウッズのスイングは今後どう変わるべき?
By Brian Wacker, PGATOUR.COM
タイガー・ウッズが今後とる道とは、どういうものだろう?
腰の手術から復帰し、今シーズンはフェデックスカッププレーオフシリーズ出場も逃したウッズは、ショーン・フォーリー氏との契約を解消。次のコーチに関する憶測が飛び交っているが、ウッズは後任探しに特に期限を設けていないと話した。
すでにウッズの指導を引き受けないと断言しているのは、ブッチ・ハーモン氏。1993年から2004年までウッズと行動を共にしたハーモン氏は、再びタッグを組む気はないと明言している。
今後も多くの指導者の名前が噂に上るのだろう。では、どういうタイプの指導者をウッズ自身が求めているのだろうか?この点を考えていくと、方向性は絞られていく。
どの指導者にも、それぞれの考え方というものがある。ゴルフチャンネル解説者のブランデル・シャンブリーは、ウッズに必要な指導者像を、次のように考えている。
「タイガーには、専門的な面で彼と張り合えるコーチが必要だと思う。これは興味深い観点で、ここ4年から6年の間、彼のスイングを構築した素晴らしい技術についてなのでね。ただ、こういう考えがタイガーや、他のゴルファーにとって上手く機能するかはわからない。私が考えるに、フォローを大切にするコーチが良いだろう。最近の多くのティーチングプロは、ボールよりも“後ろ側”を重要視している。バックスイングの部分だ。この部分でタイガーの役に立てる指導者は多い。そして、これも大事なことだが、彼がジムで取り組んでいるメニューがコース上で役に立たないと説得できる人物でなくてはならない。実際にタイガーが他のコーチと契約するのなら、実直な人柄で、彼を諭せる人物でないといけない。ジムでのトレーニングが彼の身体を大きく、厚くし過ぎた。今のままでは、かつてのようなスイングは絶対に取り戻せない」。
シャンブリーと同様に、NBC Sportsで長年解説を務めるジョニー・ミラーもまた、”抑え目な姿勢”こそ、ウッズが取るべき道と言う。
「タイガーはあまりにも多くのものを求めている。ゴルフに集中すべきだ。筋骨はたくましくなれるだろうが、ターゲットに向かってスイングすることが肝心。あまりにも左に外れるようなスイングは要らない。ターゲットを狙ってクラブを振る。単純なことだ。彼には多くのコーチと同等の知識量がある。ただ、ポンセ・デ・レオン(スペインの探検家)のように、若返りの泉を求めるのを止めるべきだ」。
間もなく39歳になるウッズだが、これまで身体に受けたダメージは多い。あらゆる箇所の手術を受け、今年の3月には顕微鏡によるヘルニア手術を受けた。ウッズの言葉を借りれば、「これまでで最も身体が弱った」のだとか。
ウッズと同じような観点でボールを打つ選手も何人かいるが、非常に力強いスイングによる代償は、決して安くない。ミラーは、「ロングゲームにおいてウッズに必要なのは、スムーズなスイングであって、力強さや、ブロックして右に、もしくはフリップして左に飛ばすことではない。ジム・フューリックのようにプレーすることでもない。もっとも、フューリックは最近好調のようで、タイガーが4番ウッドで出す飛距離になんとか届くようになったらしい」と語る。そして、「力強さや爆発力は忘れるべき。彼は以前から『かつての爆発力を取り戻せれば』と言うが、もう15年になる」と続けた。
上記のいずれも、フォーリー氏の責任として考えるべきではない。
ウッズは昨シーズン5勝を挙げたものの、フォーリー氏との4年間で多くの怪我を経験した。しかし、ジャスティン・ローズ、先週の「ザ・バークレイズ」で優勝したハンター・メイハンら、フォーリー氏の指導を受けた多くの選手は成功を収めている。
いずれにせよ、ウッズが何かを変える時期と判断したのは確かだ。それでもシャンブリーは、スイング改造に着手したこれまでのどの時期よりも、今回が最も難しいミッションになるだろうと見ている。
「変化を起こすためにも、まずは筋肉が覚えてしまっている動きをなくして、学び直す必要がある。今のウッズは、怪我を経験した身体で、しかも以前より齢をとった肉体でそれをやろうとしている。つまり、生まれ変わった時期を迎えるはずなので、しばらくは不調が続くかもしれない」。
彼が完全復活を遂げるまでの間は、他のプレーヤーに優勝するチャンスがあるということなのだろう。