ウッズがストリッカーからパットのレッスン
パットの名手スティーブ・ストリッカーは、今季もツアーにフル参戦する選手ではない。だから、というわけではないのだろうが、タイガー・ウッズは彼をパッティングコーチとしてフルタイムで雇おうか、などと冗談を言っている。
ストリッカーは、ゴルフ界きってのパットの名手だ。ウッズが困ってアドバイスを求めると、これまでも常に適切な助言を与えてきた。
「WGC キャデラック選手権」でも、この光景が見られた。ウッズは45分もの間、ストリッカーからパットの個人指導を受けた。
今のところ、彼のアドバイスは効いているようだ。
「彼の言うことなら何だって聞くさ」と、ウッズは語る。「なんてったって彼は史上最高のパット名人だからね」。
ウッズはキャリア75勝目となったトーレ・パインズで優勝してから、徐々にパッティングの調子が狂ってきたと振り返る。大会初日、ウッズのパット数はたったの23。それは65選手中18位という成績となり、ウッズを6アンダーの「66」、首位タイへと導いた。
「彼は僕のストロークの癖を良く知っているから、見えないものが見えるような的確なアドバイスをくれるんだよ」と、ウッズ。「小さなきっかけをくれるから、調子が良かった頃に戻れるような気分になるんだ」。
ストリッカーは今季、11試合しかツアーに出場する予定はない。ストリッカーはウッズに「僕に給料を払ってくれたら、もっと少なくしてもいいよ」と冗談を言ったとかいないとか。
「タイガーは(パットについて)何か言っていたかい?」ストリッカーは「67」でホールアウトした直後に記者に質問した。
事実、ツアー中にも関わらず、ストリッカーがウッズにパッティングの助言をしたことは何度もあった。ロイヤルメルボルンで行われた「プレジデンツカップ」でアドバイスをもらった時などは、その効果はてきめんだった。
「昨日、タイガーがこぼしていたんだ。“今日はパットミスで波に乗れなかった”ってね」とストリッカー。「彼ほどの選手に積極的にアドバスを送るのは、ホントはすごく嫌なんだよ。でもタイガーはいつも受け入れてくれる。仲間を混乱させることはしたくないからね。でも、昨日の彼は興奮していた。何かきっかけをつかんだのかもね。これでリズムに乗ってくれたらいいのだけれど」。
「タイガーは今日、6アンダーだって?僕も嬉しいよ」。
ストリッカーによると、タイガーの場合は往々にして、ドライバーやアイアンのスイング改造がパットのストロークに影響を及ぼすという。ウッズは今、パッティングする際にグリップを少し強く握ることを意識しているという。そうすればパッティングの際、ハンドファーストとなることを避けられる。
「ラインを読んでボールを打つ。タイガーがパッティングだけに集中できるように、僕は彼のストロークを正しいものにしてあげたいだけなんだ」とストリッカー。
とはいえ、ウッズが完璧なコンディションというわけではない。彼は15番までに少なくとも4度のバーディチャンスを逃した。12フィート以内の短いパットを2度も外すなど、流れに乗りきれなかったミスも目立った。
2006年5月にタイガーの父が生涯を全うするまでの長い間、タイガーのパッティングコーチは父だった。かたやストリッカーは、タイガーが15歳の頃からの仲間であり、彼らは常にパッティングに対する哲学を共有していた。二人のアプローチは異なっていたとしても。
「彼は聞くべきことをきちんと聞き入れてくれる素晴らしい選手だよ」。ストリッカーは語った。僕らは持ちつ持たれつの関係なのさ。彼にはよくご馳走になっているからね(笑)」。
二人の“青空パッティング教室”はこれからも続いていくことだろう。
「今年あたり、ストリッカーと契約しようかな。だって彼は今年、5試合しかゲームに出ないんだろ?」。ウッズは冗談半分で言った。「ストリッカーのスケジュールが空いている時は、極力サポートしてもらおうと思っているよ。自分のプレーよりも僕を助けてくれよってね。真の友達ってこういうものだろ。困った時はお互い様。僕らは長い間の友人だからね」。