2019年 ウェルズファーゴ選手権

名声への執着なし 癌を克服した31歳の人生観

2019/05/04 13:59
2位で決勝ラウンドに進んだJ.ダーメン。初優勝に前進した(Ben Jared/Getty Images)

◇米国男子◇ウェルズファーゴ選手権 2日目(3日)◇クエイルホロークラブ(ノースカロライナ州)◇7554yd(パー71)

プロゴルファーの誰もが追い求めるはずのツアータイトル。しかし、予選ラウンドを連日の「66」で回り、首位に1打差の通算10アンダー2位タイにつけたジョエル・ダーメンは、米PGAツアー初優勝を望める位置にいながら「正直トロフィーに執着していない」と言い切った。かつて精巣癌を患った経験から、「ここにいられるだけで幸せなのさ」という。

高校時代に母親を癌で亡くし、自らも病魔に襲われたのはプロ転向2年目の2011年。幸いにも早期の発見で、「早く治療を終え、コースに戻ることだけを考えていた」と同年に当時主戦場にしたカナダツアーに復帰すると、14年には初優勝を含むシーズン2勝を挙げて賞金王に輝いた。

17年から米PGAツアーに加わると、現在は世界のトップ選手たちと戦いつつ、インスタグラムに写真を残すことが趣味になった妻と、試合で様々な地域を訪れることを楽しんでいる。「ゴルフは自分の人生を素晴らしいものにしてくれた。この争いが楽しいし、(ゴルフで)お金を稼ぐことも好きだ」。

「ゴルフは生死を分けるものではない。僕には(マスターズ優勝者に与えられる)グリーンジャケットも、世界で1番になることも必要ない。自分がいまいるところに満足しているんだ」。生への喜びが、31歳の心を満たしている。(ノースカロライナ州シャーロット/林洋平)

2019年 ウェルズファーゴ選手権