2018年 全英オープン

ウッズがメジャーで5年ぶりトップ10 惜敗後の子どもたちとのハグ

2018/07/23 05:09
タイガー・ウッズは完全復活への道を確実に刻んだ

◇メジャー第3戦◇全英オープン 最終日(22日)◇カーヌスティ(スコットランド)◇7402yd(パー71)

「もう終わった」--。たくさんの人がそう言った。だが、彼はタイガー・ウッズだった。4打差の6位から10年ぶりのメジャー15勝目を狙ったウッズは「71」で回り、通算5アンダーの6位に終わった。6番(パー5)までに2バーディを奪い、単独首位で迎えたサンデーバックナインに後退したが、2013年の「全英」以来5年ぶりにメジャーでトップ10入り。完全復活への道筋をカーヌスティにはっきりと刻んだ。

西日を背に受けたウッズを18番の観覧席はスタンディングオベーションで迎えた。赤いシャツ、黒いキャップとパンツ。最終日のトレードウェアに誇りと力強さが戻った。バーディパットはカップをそれ、「自分に少しイラっとするよ。後半に入る時、事を成し遂げるチャンスがあったのにできなかった」。その感情とは裏腹に場内は声援でいっぱいになった。

晴天ながら、秒速9mの強風が吹いた最終日の午後に優勝争いを引っ張った。4番、残り133ydの2打目は8Iのローボールで向かい風を裂き、6mにつけてバーディを先行。6番(パー5)で2つ目を奪って首位と1打差に迫った。最終組のザンダー・シャウフェレジョーダン・スピースが後退し、ウッズはハーフターンした時には7アンダーの単独首位に立った。

最終18番でギャラリーの声援に応えるウッズ

「通算9アンダーが優勝スコアだと思った。難しいけれど、そこを目指した」。順調に進めていたプランは、ティショットからほころび始めた。10番で3Iでの第1打がポットバンカーに入った。2打目で驚異的な高さを出し、カップに近づけてパーで切り抜けた直後の11番でトラブル。右ラフからの第2打は大きく左に曲がり、ギャラリーに当たってロープ内に跳ね返ってきたが、3打目のアプローチでグリーンに乗せられず、ダブルボギーをたたいた。「(2打目が)芝がシャフトに絡みついた」と、さらに12番でも第1打のミスからボギー。同組のフランチェスコ・モリナリ(イタリア)にクラレットジャグを譲る結果となった。

年始に656位だった世界ランキングは2015年1月以来、3年半ぶりに50位に復帰する。2週後の「WGCブリヂストン招待」(オハイオ州ファイヤーストーンCC)の出場権を獲得し、春先に口にしていた目標を達成。翌週のメジャー最終戦「全米プロ」(ミズーリ州ベルーフCC)に向けても勢いづく。

18番グリーンを降りると、そこに待っていたのは自身の2人の子どもたちだった。ウッズが「一生懸命頑張ったパパを誇りに思ってくれたらうれしい」と告げ、ギュッと抱き合うと、思いが込み上げた。「子どもたちはこの試合が僕にとってどんな意味を持っているか、どんな気持ちでもう一度プレーしたか分かってくれていた。僕がキャリアでどれだけ勝ってきたか、(当時の記憶がない)彼らは知らない。それに気づいてくれたことが、僕にとっては特別だ。あの子たちは、僕がずっと苦しんできたことしか知らないんだから」。ツアーを支配したあの時とは違う、勝つべきモチベーションがある。その瞬間はきっと目の前だ。(スコットランド・カーヌスティ/桂川洋一)

ウッズは4番でバーディを奪い、ギャラリーの声援に応えた
タイガー・ウッズは4番でバーディを奪った
”驚異”のウッズが戻ってくる

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