3年ぶり出場のウッズ 復活優勝への期待とキャリアの終盤
◇メジャー第2戦◇全米オープン 事前情報(12日)◇シネコック・ヒルズGC(ニューヨーク州)◇7445yd(パー70)
主役の登場にギャラリーは沸く。タイガー・ウッズが3年ぶりに母国のナショナルオープンに出場する。開幕前から世界トップクラスの選手たちとラウンドを重ね、2008年大会以来の10年ぶりメジャー制覇に向けて準備を進めている。
2日前のジョーダン・スピースに続き、この日は午前7時過ぎから世界ランキング1位のダスティン・ジョンソンと練習ラウンド。2週前にツアー通算2勝目を挙げたブライソン・デシャンボーを入れた3人で回った。大ギャラリーを引き連れてコースチェックしたウッズは、「もちろん厳しい舞台になるけど、チャレンジを楽しみにしている」と語った。
当地はウッズの原点のひとつとも言うべき場所か。プロ転向前の95年に19歳で臨んだキャリア2度目のメジャーが、ここシネコック・ヒルズGC開催の「全米オープン」だった。ケガに泣き途中棄権したが、「世界の名選手のプレーを生で見られた機会になったんだ」。その後積み重ねたメジャーの勝利数は14にものぼる。
42歳になり、少なからず自らのキャリアを振り返る時期になった。長年の好敵手としてともにゴルフ界をけん引し、今大会で自身に続く4大メジャー全制覇がかかるフィル・ミケルソンの話題になると、「僕らは世界のトップ2にいた時間が長く何度も争ってきた。20年近くになるが、僕らのキャリアは終盤にさしかかってきたね」とウッズは言った。
近年は4回の腰の手術を受けるなど長期離脱を繰り返したが、それでもフルシーズンを戦えるまでに回復した。今年4月の「マスターズ」(32位)で3年ぶりにメジャー復帰。2週前の「ザ・メモリアルトーナメント」(23位)ではショット貢献度で全体1位になるなど、3日目まで優勝争いに加わった。「楽しさと同時にすごく落ち着いてできた。だって僕はキャリアの中で何度だって優勝争いの中にいたからね」。
「僕は母国のナショナルオープンに出場できずにいた。だから今週は本当に楽しみだ」。メジャーで果たす5年ぶりのツアー80勝目。そんな極上のストーリーへ。止まっていた時計の針は、着実に動きはじめている。(ニューヨーク州サウサンプトン/林洋平)