愛息の出迎えに感極まる ウッドランドに起きた悲劇と奇跡
◇米国男子◇ウェイストマネジメント フェニックスオープン 最終日(4日)◇TPCスコッツデール(アリゾナ州)◇7266yd(パー71)
プレーオフを制した18番グリーン上。ゲーリー・ウッドランドは、生後7カ月のジャクソン君を抱きかかえて行った優勝インタビューで言葉を詰まらせた。「この子は奇跡だよ…」。
本来なら、彼は双子として生まれてくるはずだった。だが、妻ギャビーさんが妊娠中の昨年3月に、双子のうちの1人を流産で失った。ウッドランドは出場していた「WGCデルテクノロジーズ マッチプレー」の2回戦を前に途中棄権し、妻の元に寄り添うことを選択した。
3カ月後の6月23日に、約1カ月の早産で生まれたジャクソン君は健康だったが、退院して自宅に戻ってからも、しばらくは呼吸をモニターする器械をつけることを強いられていた。
今年はハワイでの「ソニーオープンinハワイ」前から、ジャクソン君を連れて転戦を開始。今週で5週目だったが、これまで愛息はずっとホテルの部屋にいて、コースには出てこなかった。「だから、妻が彼をつれて最終ホールにいたのには驚いた。彼がそこにいるとは思わなかったから。特別な瞬間だったし、きっと忘れないと思う」とウッドランドは目を潤ませた。
2011年に初勝利を挙げ、13年に2勝目。だが、それ以降は勝てそうで勝てない日々が5年続いた。「なんども惜しい試合があって、とてもフラストレーションの溜まる5年間だった。でも、それを戦い抜いた。昨年は家族の問題もあって精神的にきつかったけど、ゴルフ自体の調子はよかった。なんとか最終戦にも出場できたし、2018年の開幕が待ちきれなかったよ」。
現在33歳。ゴルフと人生の浮き沈みを乗り越えて、ウッドランドは戦い続ける。(アリゾナ州スコッツデール/今岡涼太)