1オンイーグルから後退 松山英樹は居残りせず「帰ります」
◇米国男子プレーオフ第3戦◇BMW選手権 3日目(16日)◇コンウェイファームズGC(イリノイ州)◇7208yd(パー71)
スコア提出を終えた松山英樹は、進藤大典キャディに合図を送って意思を告げた。「きょうはもう、帰ろう」。ラウンド後のいつもの練習を取りやめ、宿舎に戻ることを決めた。47位タイで迎えたムービングデーは1イーグル、4バーディ、5ボギーの「70」。通算3アンダーの49位タイと低迷が続いた。
スタートはこれ以上ないほど順調だった。360ydと短い1番で1Wを振り抜き1オンに成功。ピン右5mのチャンスをものにし、いきなりイーグルを決めた。前日までの2日間、実戦テストした1Wのシャフトを、長らく愛用してきたモデル(グラファイトデザイン ツアーAD DIシリーズ)に戻して生まれたベストショットだった。
ビッグスコアの予感。自らも感じたその期待は、ホールを進めるうちにしぼんでいった。「(1番で)テンションが最高に上がりましたけど…そのあとは最低にテンションが落ちました。5番、7番、10番でガタガタ落としていきました」と、ショートゲームで勢いづけずボギーを重ねた。10番では1Wショットを右サイドのクリークに打ち込んだ。
「うまくマッチングしないなという感じです。クラブも、自分のスイングも…」とこぼしながら、12番から3連続バーディで一時は盛り返した。向かい風になった12番では292yd、フォローになった13番は340yd先のフェアウェイをきっちりとらえるティショットも披露。「良かったものがあるからこそ、そのあとに曲がったのがなんでなんだろうという感じがします」。終盤15番以降の2ボギーを呼んだ1Wショットの右へのミスがいつまでも気に入らなかった。
故障や終了時間が極端に遅いケースを除いて、松山がラウンド後の調整をルーティンから外すのは稀なこと。「休みます。(練習を)やっても変わらないかな…という感じなので」。ポストシーズンに入って納得のいかないプレーが続き、精神的な疲労が蓄積している可能性も否定できない。
「ビッグスコアを出せればトップ10に入れる。あしたは天気が悪いみたいなんで伸ばせるように頑張りたい」と顔を上げたが、最後は「完走します」と残してコースを去り、意気消沈ムードが漂う。……とはいえ、練習をしないことがトピックスになる選手も珍しい。(イリノイ州レイクフォレスト/桂川洋一)