ローズとガルシア グリーンジャケットを巡る争いと友情
◇メジャー第1戦◇マスターズ 最終日(9日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7435ヤード(パー72)
悲願のメジャー初制覇を遂げたセルヒオ・ガルシア(スペイン)の歓喜を最初に受け止めたのは、プレーオフで敗れたジャスティン・ローズ(イングランド)だった。同じ1980年生まれで、2年に1度の米国選抜との対抗戦「ライダーカップ」ではともに欧州選抜の常連。2013年「全米オープン」以来となるメジャー2勝目を逃したローズだが、友人関係を越えたスポーツマンシップを最後まで披露した。
11番を終えた段階ではガルシアを2打リード。ローズは終盤に追いつかれ、逆転された敗因に13番(パー5)を挙げた。ガルシアが第1打を左に曲げて4オンから2mのパーパットを決めたのに対し、ローズは1.5mのバーディパットを外した。「あれで彼は生き残った。彼が外していれば、僕は決められたと思う。(2打差から)4打差になっていれば、僕の視線は(前の組でプレーしていた)トーマス・ピータースや、マット・クーチャーに向いていた」
この日、2回プレーした18番。72ホール目のバーディパットは「何度も練習していて、良いパットができた」はずが、カップの右へ。73ホール目のパーパットは左へ外れた。
「僕だって、もちろんグリーンジャケットが欲しかった」と嘆くが、ラウンド中も、その後も、彼の紳士的な振る舞いが人々の心を打った。互いが互いの好プレーに声をかけ、ガルシアが正規の18番でバーディチャンスを作ると、ローズはサムアップをしてライバルを讃えた。次第にガルシア寄りの応援が増えてきたことも認識し、理解していた。「セルヒオは米国にいたいのに、いままで応援されていないと感じることも多かった。でも、ファンはみんな、彼はもう十分苦しんだ、何度も惜しい経験をしてきたと気づいたんだと思う」
「僕らは14歳のときから何度も一緒にゴルフをしてきた。素晴らしい友情とライバル意識がいつもあるんだ。僕の良い時を、彼はいつも喜んでくれた。何度もメジャーで打ちのめされ、仲間に置いて行かれる気持ちを味わってきたと思う。これでやっと、彼も重圧から解放された。僕にとってもうれしいことだよ」
ローズのケイト夫人、ガルシアの婚約者のアンジェラ・エイキンスさんも、プレーオフに入る直前に互いのパートナーの健闘を讃え、抱き合っていた。(ジョージア州オーガスタ/桂川洋一)