「変えないことが大事だった」石川遼は後半3バーディで挽回
◇米国男子◇シェルヒューストンオープン 初日(30日)◇ゴルフクラブ・オブ・ヒューストン(テキサス州)◇7441yd(パー72)
石川遼は前半アウトで1ボギーと出遅れながら、後半に3バーディを奪って巻き返し、「70」でまとめた。過去3回の出場で2回の予選落ちと「苦手意識がある」コースで、首位とは6打差、2アンダー44位タイでスタートを切った。
風の穏やかな午前スタートが必ずしも有利に働くわけではない。この日のコースは、前日の大雨をたっぷり含みながらも、プリファードライのローカルルール(無罰でボールを拾上げて汚れを取り、ホールに近づかずにコンディションの良い場所にプレースする)は適用されず、ボールの行方が付着した泥に左右されることも多かった。
午前7時40分、全体の3組目で出た石川は序盤、2打目以降のコントロールに苦労した。「下が濡れていて、ショートアイアンでスピンが入ってもファーストバウンドで大きく跳ねたり、跳ねなかったり…。ピンポジションも難しく、打っていかなければいけないところに打てず、長いバーディパットが残った」。チャンスをなかなか作れないまま、7番(パー3)で第1打を左の池に入れてボギーを先行させた。
気温が次第に上がり、ハーフターン後にようやく挽回が始まった。338ydと短いパー4で、右サイドの池を恐れず、積極的にグリーン手前まで運んで最初のバーディ。続く13番(パー5)は3オンで2m弱をきっちり沈めて2連続とする。14番(パー3)は第1打が流れて右のバンカーに入ったが、「最近にはないくらいうまく打てた」と62度のLWで2mに寄せ、勢いを寸断しかねないシーンでパーを拾った。スタートから着込んでいたセーターを脱ぎ、4mを決めた15番(パー5)で3つ目。フェアウェイキープ率が78.58%と安定した日だったからこそ、アンダーパー発進には安堵感も漂った。
ナイスカムバックのきっかけを問われ、石川は「特に変えたことはない。体がちゃんと動くようになってきた」と言い、「ある意味では何も変えないことが大事だった」と続けた。「1打、2打、うまくいかないからと言って『打ち方をこう変えてみよう』とは、最近思わなくなった」。ここ5試合で決勝ラウンド進出は2回と低迷しているが、地にしっかり足がついている様子をうかがわせる。
今季は第1ラウンドの平均が「70.4」に対し、第2ラウンドは「71.2」。2日目に後退してしまう印象は、本人の中では数字以上に強そうだ。「あしたは、最低でもトップとのこの差をキープしたい。しっかり予選を突破して、3日目、4日目につながる2日目にしたい」。ロケットスタートを決めたリッキー・ファウラーの背中を追う。(テキサス州ヒューストン/桂川洋一)