トランプ氏所有コースでの「世界ゴルフ選手権」をメキシコ開催に変更
PGAツアーは1日、世界ゴルフ選手権(WGC)シリーズの主催者を代表し、2007年から「WGCキャデラック選手権」として開催していた大会について、来年から大会名を変えてメキシコで開催することを発表した。同大会は今年まで、米大統領選で共和党候補指名を確実にしたとされるドナルド・トランプ氏所有のトランプナショナルドラール(フロリダ州マイアミ)で開催されていた。
新大会名は「WGCメキシコ選手権」と発表され、新スポンサーとなるメキシコの財閥・サリナスグループとの契約は7年間。会場となるコースは現在未定だが、2017年は3月2日から5日の日程で開催される。
PGAツアーのコミッショナー、ティム・フィンチェム氏は記者会見で「これは政治的な動きではなく、単純にスポンサーの問題。我々は選手への賞金に価値を見出す組織」と強調。以下のコメントも文書で発表した。
「1999年のWGCシリーズ発足以来、これらの試合を世界中で開催するというのが目的だった。トランプナショナルドラールで大会を継続的に発展させていくスポンサー確保が困難であることが明確になったときに、(サリナスグループ会長の)リカルドと(息子の)ベンジャミンと真剣に話を始めた。彼らは大会をメキシコシティに持ってくることでゴルフ界とメキシコ全体へ利益をもたらすことに強い興味を持っていることを表明した」
選手の受け止めは様々だ。この発表を受け、ロリー・マキロイは「我々がドラールからメキシコに行くというのは本当に皮肉だね。“壁”を越えていくことになるね」と話した。
これは、トランプナショナルドラールを所有するトランプ氏がアメリカ大統領選挙にからみ、メキシコからアメリカへの不法移民や薬物流入を防ぐ目的として、「メキシコとの国境の壁は作るし、どんどん高くしていってやる」と発言して物議を醸したことを受けたもの。トランプ氏はその後、批判を受けながらも支持を拡大した。現在では共和党候補指名が確実な情勢とされる。
ドラールはPGAツアーの試合を1962年から55年間にわたって開催してきたコース。トランプ氏は2013年にこのコースを買収して以降、コース改修を進めるなど関与し始め、大会期間中にはコース入りも続けて、ツアー開催には精力的だった。マキロイが池ポチャの直後にクラブを投げ捨てる一幕があった15年大会では、ダイバーを雇ってクラブを回収してマキロイに返してみせるパフォーマンスで話題も作った。(オハイオ州ダブリン/今岡涼太)