終盤の足踏みに「すごく悔しい」 松山英樹は3打差を追う
結果的には首位と3打差に踏みとどまった。だが、ホールアウト後の松山英樹の、なかば憔悴したような表情には落胆の色が読み取れた。
カリフォルニア州にあるリビエラCCで行われた米国男子ツアー「ノーザントラストオープン」3日目、6バーディ、3ボギーの「68」(パー71)で回った松山は通算9アンダーの10位タイ。首位との差は3打に詰まったが、順位は落とした。リーダーボードは首位と3打差以内に11人がひしめく大混戦だ。
あまりに対照的な出だしと上がりの3ホールが、虚脱感を大きくしたのかもしれなかった。最初の1番(パー5)は5Iで軽々と2オンして、4m半のイーグルパットがカップをなめるバーディ発進。2番で6mを沈め、3番は2打目を80cmにつけて3連続バーディとした。
中盤の8番、9番と、ともに8Iの2打目をカップ1m以内につける切れ味鋭いショットを連発したが、松山は「それ以外はあまり良くない」と首を振った。「ピンをいつも狙っているけど、その中でミスをして良い方向と、したらいけない方向がある。それが全然ダメだった(できなかった)」。
パーを拾った5番では、フェアウェイからの2打目をグリーン右の刈り込まれたエリアに落とした。13番は2打目を引っ掛け、ピンに近い左ラフへと打ち込みボギーにした。本来は松山の中で消しているはずのエリアだった。
それでも、14番(パー3)で6Iのティショットを1mにつけ、3日連続となるバーディ奪取。上がりに向け、再びエンジンに火が入ったように見えた。
16番(パー3)は2m、17番(パー5)も2m、最終18番は4.5m。ショットでチャンスは作ったが、肝心のパットを決めきれなかった。「最後以外は、惜しいな、というパットが続いた。それがこのグリーンの難しさ。最後の3ホールでバーディパットを決められなかったのがすごく悔しい」。
同組で回ったロリー・マキロイ(北アイルランド)は、最終18番で2打目をグリーン右下のスコアボード付近に落としたが、救済後の3打目を6mにつけてパーパットをねじ込んだ。「9ではなく、10アンダーに踏みとどまれてすごく嬉しい。トップは12か13アンダーになると思うし、リーダーボードは大混戦。少しでもトップと離れたくはなかったから」。松山の悔しさは、マキロイの喜びの裏返しだった。
だが、松山が諦めるはずはない。「去年も混戦だったし、このコースは混戦になるという感じはある。3、4打差だったらまだチャンスはある」と前を向く。序盤のうちにスコアを伸ばし追いつくことが肝要か?と聞いてみた。「いや、前半伸ばしても、後半伸ばせなかったら意味はないから、あまり前半からという感じじゃない」。
“下駄を履くまでわからない”という勝負の鉄則は、2週間前、3打差を追う最終日にプレーオフへと駒を進め、リッキー・ファウラーとの4ホールに渡る激闘を制したフェニックスで証明済みのことだった。(カリフォルニア州パシフィックパリセーズ/今岡涼太)