カギは粘り強さ 松山英樹2勝目へ2年連続最終組
気温も上がり、抜けるような青空の下に集まったギャラリーはこの日、20万人を上回った。アリゾナ州のTPCスコッツデールで開催中の米国男子ツアー「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」3日目、5バーディ、2ボギーの「68」(パー71)とスコアを伸ばした松山英樹は、通算10アンダーとして首位と3打差の2位タイへ。昨年大会に続き、あすは最終組からツアー2勝目をつかみにいく。
これまでの鬱憤を晴らすかのような力強いガッツポーズが飛び出したのは14番。首位と3打差でスタートしたが、13番までに3度の3パットを喫するなど3バーディ、2ボギーともどかしい流れが続いていた。だが、グリーン右カラーからの3打目をSWで直接沈めてチップインバーディとすると“ヨシ”とばかりに右手拳を握りしめた。鳴り止まない歓声に、松山はカップから拾い上げた球をギャラリーへと投げ込んで応じた。プロゴルファー冥利に尽きる瞬間に、自然に笑顔が広がっていた。
この日のフェアウェイキープ率は42%と、まだティショットは安定しない。フィニッシュでクラブから手を離し、がっくりと頭を垂れるシーンがこの日も何度かあった。それでも、パーオン率は89%へと上昇した。「アイアンがだいぶ戻ってきた。戻ってきたというレベルではないけど、なんとかグリーンを捉えられるようになってきた」。
松山のショット力を物語る数字がある。素人目にも松山のショットが万全でないことは明らかだが“ショットのスコア貢献度(ストローク・ゲインド・ティ・トゥ・グリーン)”は3日間で+9.116とフィールド1位に立っているのだ。15番(553yd/パー5)は残り237ydを4Iで楽々2オン。17番(332yd/パー4)は1Wで1オンに成功した。
「今日よりショットが悪い状態で初日は6アンダーが出た。もうちょっと伸ばせたという印象はある」。3パットは多くとも「パットはそんなに悪くない」と言う。「これだけ3パットをしたら不安になるけど…」と苦笑いで付け加えたのは愛きょうだろう。
勝つための引き出しは増えている。「これだけティショットに不安があったら話にならないと思うけど、その中でも良いところに打てればチャンスはある。最後の締めとなるパターが入らなければ勝つことは難しいけど、入るラインにつけることも大事。追いかける人間は攻めていかないといけないけど、ボギーを打つと苦しくなるから打たないようにやっていきたい」。――まとめるとこういうことだ。
「今日みたいに粘り強く。パットが入らなくても、ショットがつかなくても、粘り強くやっていきたい」(アリゾナ州フェニックス/今岡涼太)