2015年 WGC HSBCチャンピオンズ

ハザードに消えたはずの球はあったけど…小平智はトラブルでトリプルボギー

2015/11/05 19:40
いったいどうなっているんだ?と競技委員に詰め寄るモリソン。「言っていることは分かったけど、自分が言おうと思うことは言えなかった」と小平。それでも、小平は冷静だった。

中国・上海にあるシェシャンインターナショナルGCで開幕した世界ゴルフ選手権シリーズ「WGC HSBCチャンピオンズ」の初日、小平智は2オーバー70位タイで終えた。

小平の一日は、不穏な空気で幕を開けた。スタート直後の2番(パー5)。左サイドに流れるクリークを包みこむように左へとドッグレッグしていくこのホールで、小平はティショットを左のハザードへと打ち込んだ。ハザードに入ったのが明らかだったため、ティグラウンド前方に設定されたドロップゾーンから3打目を3Wで打ち直した。

だが、3打目が落下したと思われる左ラフへと行ってみても、その球が見つからない。同伴競技者らと付近を捜索したが見つからず、「跳ねたのが見えた」という大溝雅教キャディの言葉に全員が同意して“跳ねたがハザードへ入った”と解釈。ラテラルウォーターハザードを示す赤線から、ハザードの処置(ドロップ)をして5打目を打った。

だが、次打地点へ歩いていこうとしたとき、右サイドにいたフォアキャディが右ラフに球があるとアピールした。それは、小平がドロップゾーンから打った3打目の球だった。左ラフで探していた球が、なぜ右ラフにあるのか?ハザードに入ったのではなかったのか?同組のジェームス・モリソン(イングランド)は「いったい今、どの球をプレーしているんだ!?」と、両手を広げて小平に詰め寄った。

2番ホールのティグラウンドからの光景。少し先にドロップゾーン、左にウォーターハザードが見える

競技委員の説明は“左のハザードに入ったとみんなが同意したのだから、その処置した球をプレーすればいい”というもの。結局、2度ハザードに入れたことになった小平は、このホールを7オン1パットのトリプルボギーとした。

実際のところは、ホールが左にドッグレッグしている関係で、手前(左サイド)で跳ねたように見えた球が、実は突き抜けて奧(右サイド)まで達していただけだった。落下地点にいたフォアキャディやカメラマンらもその球を確認していたが、左サイドで探していたのは1球目だろうという認識の違いもあって、伝えるのが遅れたという。

ティグラウンドから見ると、落下地点方向には白いモヤが掛かっていて、確認しづらかったことも災いした。

「そんなに悪いゴルフじゃなかったけど、あのホールだけ…」と悔しがった小平と、「自分が確認しなかったせい」と肩を落とした大溝キャディ。それでも「あと何十ホールもあると思ってやったし、キレもしなかった」と、上がり3ホールで2バーディを奪って2オーバーまで盛り返した。「コースはそんなに難しいと感じなかったし、良いスコアを出せる手応えはある」と、小平は強い視線で前を向いた。(中国・上海/今岡涼太)

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