松山英樹 2日連続のオーバーパー「戦えないレベル」
フラストレーションが我慢の限界を超えると、表情には笑みすら浮かぶ。松山英樹もそうだった。オハイオ州ファイヤーストーンCCで行われている「WGCブリヂストンインビテーショナル」3日目。4オーバーの49位タイから出た松山は2バーディ、5ボギーの「73」(パー70)とさらにスコアを落とし、通算7オーバーの58位タイに後退した。
ショットの乱調で「75」を叩いた2日目の午後、居残り練習で松山は光を見出していた。ところが一夜明け、状態はまた逆戻り。スタートの約1時間20分前、パット練習では穏やかだった松山の顔は、ショット調整に移ると次第に曇っていった。
最近始めた、太いグリップを挿したウェッジでのウォーミングアップ。通常のウェッジに持ち替えて片手打ち。徐々に長いクラブへと移行していくにつれ、不安が募っていく。3W、1Wと打ち終えてから、最後にウェッジで70ydほどの距離を合わせてレンジを去るのがルーティン。しかしボールは左右に散った。
たびたび声をかけてくる欧州の著名なコーチ、ピート・コーウェンも見かねたのか、身振り手振りを添えてアドバイスを送りにやってきた。
悪い予感を払拭できないままティオフ。1Wで左サイドの木に当て、隣のホールのラフまで曲げた2番(パー5)でボギーが先行。ほとんどチャンスがないまま、さらに2ボギーを喫して折り返した。10番で残り136ydの2打目をピン奥1mにつけてバーディを決めたが、挽回の流れをつかみ切れず13番、15番(パー3)でボギー。最終18番のバーディフィニッシュも「あてにならない…」と復調の兆しと受け取ることはできなかった。
「後半はきのうや、きょうの前半に比べてミスの範囲が狭くなって、グリーンを捕らえていましたけど…まだ戦えないレベル」。パットの感触は「スピードに対応しきれていないが悪くない」というだけに口惜しい。「今まではショットのイメージを(ラウンド中に)変えてきたのを、最近あまり変えずにやってきたが、これだけ悪いと変えないといけない。ちょっとずつ練習からやっているが、なかなかうまく行かないですね」
残された最終日も試行錯誤を続けるのは必至。「来週メジャーなんで、それに向けていい形で締めくくれたらいいなと思う」。メジャー最終戦「全米プロゴルフ選手権」へ、鬱積する不安を少しでも取り除きたい。(オハイオ州アクロン/桂川洋一)