松山英樹は聖地のインコースに屈す メジャー勝利へ「何か足りない」
スコットランドのセントアンドリュース・オールドコースで開催された「全英オープン」。悪天候の影響で27年ぶりに月曜日に持ち越された最終ラウンドを、18位から出た松山英樹は10番までに4バーディを決めながら、その後3ボギーを叩いて「71」。通算8アンダーの18位タイでメジャーの戦いを終えた。
5打差の首位グループの背中を追った松山は、聖地に吹く前半の追い風を生かしてチャージをかけた。1番でさっそく2mを沈めてバーディを先行。アウトで危なげないプレーを続け、理想的な展開でトップに肉薄した。
流れが変わったのはコースを折り返し、風がアゲンストになる終盤。12番で1m強のパーパットがカップの脇を抜けた。「ミスヒットしてしまった。もう少し落ち着いて打てば」――。
要所での失望と焦り。一度のミスが松山のハートを侵食し始める。パー5の14番でチャンスを作れずパー止まり。15番、16番といずれもティショットを曲げ、2打目がラフに食われて連続ボギーを叩いた。万事休す。
「最後の方はパーを取りにいくので精一杯。15番はライが悪くても、パーを取れるところに行ったが、16番(2打目)は判断ミスですよね…転がして(バンカーに)行った。上から行けば良かった」と悔やんだ。
5日間にわたる計72ホールで、アウトは14バーディ、ノーボギー。一方インは4バーディ、10ボギー。「(インが)コース的に難しいのもあるが、攻略するだけの力がない」。前後半でくっきり分かれた明暗。それはほかの多くも選手も同じだったが、同じでは、勝てない。
今季のメジャー3試合が終了し、「マスターズ」「全米オープン」、全英とすべてトップ20に入った選手は4人しかいない。ジョーダン・スピース、セルヒオ・ガルシア(スペイン)、ルイ・ウーストハイゼン(南アフリカ)、そして松山だ。
昨季はメジャーで1度もトップ30に入れなかった。「去年よりは自分の状態が良くなっているので、そこが大きい」。身体的にも望ましい状態でプレーできている今年は、芝が、コースのタイプが、気候が変わろうとも、早い段階で順応し、どっしりと自分のペースに持ち込める強さがある。だからこそ周囲も、本人も、メジャー制覇に現実味を覚えている。
「今年まだ1回も勝っていない。ちょっと“何か”が足りないから勝てないと思う。やっぱりパッティングがすごく大きな部分を占めている。ただ、今週は1日(2日目)、すごく入ったので何が良かったか思い出して、次につなげられるように練習したい」
休む間もなく英国を発ち、今週は23日(木)開幕の国内ツアー「ダンロップ・スリクソン福島オープン」に出場する。思わぬ順延で、準備期間の短いタイトなスケジュールを強いられるが「今週の悔しい思いをぶつけて優勝を目指したい」と誓った。勝利へつながる“何か”を探す旅は、ゴルフの聖地を経て、また続く。(スコットランド・セントアンドリュース/桂川洋一)