8位発進 スピースはメジャー3連勝へ上々の滑り出し
今年の「マスターズ」「全米オープン」を制し、メジャー3連勝がかかるジョーダン・スピースが、16日(木)に開幕した「全英オープン」初日に7バーディ、2ボギーの「67」をマークし、5アンダーの8位タイと上々のスタートを切った。
「最高の締めくくりになった」。17番でバンカーセーブに失敗してボギー。スピースは悪い流れで、最終18番のティショットも狙いよりもはるか左に曲げた。とはいえここは、世界の大多数のコースとは違う。「セントアンドリュースで良かった…」。ボールは1番ホールと共有する巨大なフェアウェイに残っている。
ピンまでの距離、92ydを歩測して放った2打目でピン奥5mにつけると、下りのパットを沈めてバーディフィニッシュ。「後半インをイーブンパーでまとめられて良かった」。7番までに稼いだ5バーディの貯金を、結果的に守ってホールアウトできた。
1953年のベン・ホーガン以来となる同一年のメジャー3連勝、年間グランドスラムへの期待を背負う今大会。予選同組でプレーした松山英樹はこの日、イーブンパー。もうひとりの同伴競技者ダスティン・ジョンソンの勢いに、焦りを感じないわけにいかなかった。2打差の首位に立った7アンダーのスコアもさることながら、残りの3日を考えると、世界屈指の飛距離性能に、尻込みする思いもある。
「DJ(ジョンソンの愛称)が、あのショットを打ち続けたら、僕は本当に最高のプレーをしなくちゃいけない。380yd先のバンカーを気にしたり、(18ホールで)パー5は2つしかないのに2パットバーディを(4日で)5つも6つも獲れたりするような選手のことを、どうこう言えない。僕のキャディバッグにはそんなクラブは入っていないよ」。松山もろとも、ジョンソンに1Wショットで30yd以上置いて行かれるシーンもざらにある。「だから精度の高いショットを求め続けないといけない」
記憶に新しい、1カ月前の「全米オープン」72ホール目での“悲劇”。最終日、先に単独首位でホールアウトしていたスピースを1打差で追いかけたジョンソンは、18番(パー5)で6mのイーグルチャンスから3パットパーとし、逆転優勝どころかプレーオフ進出も逃した。「あの試合は常識的には不幸、残念な終わり方だったはずなんだ。きょう、全米オープンについて話したことはなかったし、いつものように楽しく、互いに競い合ってプレーできた」とスピース。2人の間にわだかまりはない。
2日目は大雨、強風の予報。「あしたが本当のスコットランドの一日になる。目の前のチャレンジを楽しみたい」。62年ぶりの快挙へまずは第一関門を突破した。(スコットランド・セントアンドリュース/桂川洋一)