「スイッチを入れた」マキロイ 26歳前日に米ツアー10勝目
「僕はカルマ(業)を信じているんだよ(笑)」。カリフォルニア州サンフランシスコのTPCハーディングパークで行われた「WGCキャデラックマッチプレー選手権」の最終日、サスペンデッドとなった準々決勝、直後の準決勝、決勝と3試合を勝ち抜いて頂点に立ったロリー・マキロイ(北アイルランド)は、そう微笑んだ。
「そこ(メディアセンター)でボクシングの試合を見た方が、無理してラスベガスに行くよりも、自分自身に優勝のチャンスを与えられるのは確かだね」
決勝で対戦したゲーリー・ウッドランドとは、普段から仲の良い友達だ。「正直言うと、ゲーリーとの最初の数ホールは、今週一番リラックスして、楽しい気分で回っていたんだ。だって、ゲーリーのことはよく知っているし、彼とはうまくやっているからね」。
勝負が動いたのは13番(パー3)。ティショットをバンカーに入れたものの、そこから1.2mに寄せたウッドランドに対し、アプローチをミスしたマキロイはパーパットも外してボギーが確定。2アップから1アップへと戻されるピンチだったが、ウッドランドがこのパットをミスしてしまう。
ウッドランドにとっては痛恨のミスだったが、マキロイはこの勝機を逃さなかった。ウッドランドは振り返る。「彼はそのとき、明らかに別のスイッチを入れた。それ以降、彼はまったくミスショットをしなくなった。スイッチとは何かって?彼のステップが少し軽快になって、歩くのも少し速くなった。多くの選手がスイッチを入れることはできるけど、それがいつも機能するわけじゃない。彼のスイッチは良く機能したね」。
マキロイもこの事実を認めている。「それは間違いない。勝負が佳境に入ったとき、僕は少し集中力をアップして、それを有利に働かせようと努力するんだ。いつでも試合で勝つか、負けるかという勝負のときは、そうしているよ」。
最終日に近づくに連れ、選手の人数がどんどん減っていくのがマッチプレーの興行的な難しさ。だが、最後まで勝ち残った世界ランク1位の存在は、最後まで大会を華やかなものにした。
この勝利で米ツアー通算10勝目。マキロイは翌4日(月)が26歳の誕生日だ。この75年間で、26歳になる前に米ツアーで2桁以上の勝利を挙げたのは、タイガー・ウッズとジャック・ニクラスに次いで、史上3人目の快挙となった。(カリフォルニア州サンフランシスコ/今岡涼太)