21歳スピースに運も味方 ロケットスタートでメジャー初制覇へ
若き役者が期待以上の活躍だ。ジョージア州のオーガスタナショナルGCで開幕した2015年「マスターズ」初日。昨年、20歳での大会史上最年少優勝を逃し2位に終わったジョーダン・スピースが9バーディ、1ボギーで回り、コースレコードにあと1打に迫る「64」をマークして、後続に3打差をつける8アンダーの単独首位で滑り出した。
前週までの直近の出場3試合で、優勝→2位→2位。勢いに乗る男にはこの日、勝負所での強さはもとより、幸運も付きまとった。第2打を右サイドに曲げ「フォアー!」の声を響かせた2番(パー5)で、3mを沈めて最初のバーディを決めると、8番からの3連続を含め、10番までに5つスコアを伸ばした。
12番(パー3)では8Iのティショットが「大きい、奥のバンカーだ」と思ったらピン左2m強にピタリ。スライスラインに対し「押し出した」と思って打った瞬間に歩き出したら、バーディパットがカップに収まった。
極めつけは1Wのティショットを大きく右に逸らした14番。前方の木を避けて放った2打目のカットボールは、グリーンにキャリーし大きく弾んでからピンを直撃。1mのバーディチャンスとなり、これも活かした。
「夢みたいなラウンド」は15番(パー5)でのボギーで、1986年大会第3ラウンドのニック・プライス(ジンバブエ)、96年第1ラウンドのグレッグ・ノーマン(オーストラリア)が樹立した18ホール最少ストローク「63」に一歩及ばなかったが、メジャー初制覇に向け堂々の首位発進。ラッキーが重なったことで、余計に慎重にもなった姿勢が頼もしい。
「本当は『良いショットだ』と分かって、結果も良いのがいいけどね。こういうのは2回は起こらないから。(ラッキーで得た)アドバンテージから修正して、次のショット、パットに活かして、またバーディを取っていくのは難しいこと。きょうはそれが本当によくできた」
まだ2度目の出場とはいえ、バッバ・ワトソンに惜敗した昨年の経験値は伊達じゃない。「残りのラウンドも同じような精神状態でプレーしたい」とサラリと言った。(ジョージア州オーガスタ/桂川洋一)