松山英樹の新兵器 プライベート弾道計測器を導入
松山英樹が“新兵器”を導入した。29日(金)に開幕する米国男子ツアーのフェデックスカッププレーオフ第2戦「ドイツバンク選手権」3日前の26日(火)、会場のマサチューセッツ州TPCボストンで練習を開始した松山のもとに、弾道計測器「トラックマン(TrackMan)」が届いた。
PGAツアーの選手たちの間で流行中のトラックマンは、デンマークのトラックマン社が開発したゴルファーのショットを分析する機械。タテ×ヨコおよそ30センチ、幅およそ5センチの箱型デバイスの中に高性能カメラとレーダーが内蔵されており、ツアートーナメントにおいても弾道計測の公式機器として活躍している。
日本では一般向けで約280万円という高価な代物だが、持ち運びが可能で、どのツアー会場や練習場でも即座に使用できるのが大きな魅力。ヘッドスピードやクラブの入射角、フェースローテーションの向き、スピン量をはじめ、スイングに関する数々のデータがパソコンやiPhone、タブレットの画面に表示される。スイング動画の比較なども簡単で、同社の担当者によれば、ツアーでは既に50~60人の選手が、そして有名プロコーチもこれを購入し、スイングの向上に役立てているという。
「みんなのマネをしました。ウソです」と冗談めかした松山だが、導入に至った動機はまず世界で戦うツアーの“環境”を考慮してのもの。「風が吹いた時の練習などにいいと思う。全英オープンの会場なんかでは、自分がいま何ヤード打ったか分からなくなる時がある」。広大で平坦な練習場がコースに用意されているとはいえ、各会場における標高や気温、また個人のその日の体調など様々な違いは、ツアープロの感覚を狂わせていく要素。客観的な数字を把握することによって、自身のスイングやショットへの理解を深めるのが狙いだ。
とはいえ、自身の「感覚や手応え」といった、言葉や記号にしづらい側面を重要視する松山が、スタイルを曲げたわけではない。「ゴルフって、数字だけじゃないんですよ。数字をどこまで信用して、どこからは信用しないかというのも大事だと思う。自分の目と感覚とをどう一致させるか。道具をどう使うかが大事で、うまく使わないと意味がない」
道具に頼るばかりでは向上の道を見失ってしまう。「ゴルフが上手くなるために買ったわけですから。あれを使って、うまくなるか、ならないかは、自分次第」と、とびきり優秀な機器を手に入れて一層、気合が入った様子だった。(マサチューセッツ州ノートン/桂川洋一)