2014年 ウィンダム選手権

石川遼 米ツアー自己ベストスコア「62」で急浮上

2014/08/16 10:24
米ツアー自己ベストとなる「62」をマークした石川遼だが、「まだ2日目」と冷静だ。

ノースカロライナ州のセッジフィールドCCで開催中の米国男子ツアー「ウィンダム選手権」2日目。イーブンパーの74位タイから出た石川遼が、米ツアーで自己ベストとなる9バーディ、1ボギー「62」(パー70)をマークし、通算8アンダーの7位タイに急浮上した。

「自分でもビックリしている。今シーズンのベストラウンドだと思う」。出場全選手のうち2日間を通してベスト、2011年「WGCブリヂストンインビテーショナル」3日目の「64」を更新するビッグスコアを叩き出した直後の口調は穏やかだった。「実感がないというか…」。結果が伴った理想のプレーを、じっくりと噛みしめていた。

序盤は「予選落ちかな…と思ってスタートした」という。1番でいきなり3パットボギーを喫し、予選通過のカットラインから一歩遠ざかった。4番ではティショットを大きく左に曲げ、トラブルの予感を漂わせる。ところがこのボールが木に当たってフェアウェイに出たところから流れは急転した。

4メートルのチャンスを活かしてバーディを決めると、続く5番(パー5)では2打目をアイアンでグリーン右のエッジまで運び2連続。「自分の持っているテーマを焦らず続けていこう」。ドライバーでアドバンテージを得ていく攻撃的なゴルフに徹することだけを考え、ゲームに集中した。

圧巻は後半のバーディラッシュ。9番、10番は、いずれもドライバーでのビッグドライブから、アプローチウェッジでピンに絡めて2連続。さらに12番(パー3)から2連続、15番(パー5)からは3連続を決めた。最終18番は第1打を「最悪のショット。ボールを撫でてしまった」と右ラフに大きく曲げたが、2打目できっちりとグリーンを捕え、強烈な下りのフックラインを2パットでパーセーブ。「今シーズン、アプローチとパットを磨いてきた。それがやっと噛み合った」と安堵感いっぱいに語った。

2日間のドライビングディスタンス294.7ヤードは堂々の1位。パー3を除くと、セカンドオナーも一度もない。自ら「刻もうと思えばいくらでも刻めるコース」いうだけに、攻め方の“正解”は複数ある。ただ石川にとっては、キャリアで初めてシード確保に注視したここ2シーズンで、目先のポイントを拾うべく向上させてきたショートゲームと、取り戻したドライバー中心のプレースタイルの紛れもない結晶が、この「62」だった。

トップとは2打差に迫り「本当に楽しみ」と口元を緩めたが、米国で予選を通過したのは6月初旬の「ザ・メモリアルトーナメント」以来、そして苦労の道のりが気持ちを浮つかせない。「まだ2日目。これからという感じ。自分を保つことが大事。いま目指すものをやっていくだけ」。“初勝利”の3文字はぐっと飲み込んだ。(ノースカロライナ州グリーンズボロ/桂川洋一)

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