石川遼 再びドライバー攻め「何年ぶりかのゴルフ」
順位的には出遅れだ。しかしそれを微塵も感じさせないほどの充実感が体を突き抜けていた。ノースカロライナ州のセッジフィールドCCで開幕した「ウィンダム選手権」。インから出た石川遼は3バーディ、3ボギーの「70」で回り、イーブンパーの73位タイで初日を終えたが、米ツアーでドライバーを多用するスタイルへの変貌に手応えを口にした。
スタートから5ホールで3ボギーという苦しい序盤戦。11番、15(パー5)番ではティショットをいずれも左へ曲げ、クリークに入れるミスを重ねた。それでも石川に自信を持たせたのが終盤の2ホール。8番でティショットを290ヤード先まで運び、サンドウェッジで残り80ヤードをピン奥1.5メートルにつけるバーディ。さらに、昨年までは、280ヤードほどの飛距離なら入ってしまう右サイドのバンカー手前に、ティショットを刻んでいた最終9番では、ドライバーを振り抜くと、ドライブは294ヤードに達し、きっちりとフェアウェイを捕らえた。
「アメリカツアーの平均の飛距離(今季のドライビングディスタンス全体平均は288.3ヤード)ではあのバンカーは越えない。だから飛んで曲がらないショットを測るバロメーターになるホール。中途半端な(平均並みの)飛距離だと、ドライバーで落とすポジションは一番狭い、幅15メートルくらいのフェアウェイになるが、さらに10ヤード飛べば、フェアウェイは倍くらいになる」
リスクを負った攻めに成功すれば報酬がある。6月に一時帰国する前、「アメリカで勝つために」再び取り組むことに決めた、かつて日本で見せていたアグレッシブなプレースタイルへの転換。昨年はパー3を除く14ホールのうち、「10ホールくらいは刻んでいた」コースだが、この日、ドライバーを握らなかったのは6番の1ホールだけだった。
「川に2つ入れてのこのスコアは、内容的には良かった。ドライバーでアドバンテージを握っていくことの重要性を感じた。先週から良くなってきた感じはあったが、今日それを感じられたことは良かった。明日につながる」
そればかりではない。
「本当に…何年ぶりかな、と思うゴルフができた。失っていたものだし、忘れていたものというか。この結果以上に僕は収穫を感じている。自分のやっていくことが見えた」と清々しく言い切った。(ノースカロライナ州グリーンズボロ/桂川洋一)