左手親指負傷のジェイソン・デイ 復帰への道のりを語る
「とてもフラストレーションが溜まる時間だった」。今週、オハイオ州ダブリンにあるミュアフィールドビレッジGCで行われる「ザ・メモリアルトーナメント」で1ヶ月半ぶりのツアー復帰を果たすジェイソン・デイ(オーストラリア)は、苦々しそうに振り返った。
今年2月に行われた「WGCアクセンチュアマッチプレー選手権」を制したデイだったが、その前から左手親指の痛みはあったという。「でも、(2週間後の)ドラル(WGCキャデラック選手権)ではゴルフクラブを振ることが出来なくなった。それが本当の始まりだったんだ…」。4月の「マスターズ」には強行出場。だがそれは、痛みの中での戦いだった。
復帰に向けて、デイは3度のコルチゾン(ステロイド)注射、経口ステロイド剤の投与、抗炎症作用のある塗り薬、ギブス、副木…、「すべて親指のためにやった」という。効果があったのは、3度目に行ったコルチゾン注射だった。「最初の2回とは違う医者だったんだけど、彼は問題がある小さな箇所のど真ん中に、“バン”って打ち込んでくれたんだ」。
怪我の発症は、木の根っこを打ったとか、なにかの衝撃によるものではないという。「彼(医者)は、使い過ぎだと言っていた。でも、今までに何球打ったかなんて分からない。だから、これはゴム紐みたいなものだと思っているんだ。どんどん伸ばしていくと、いつか弾力を失ってしまう。そういうことが、自分の親指に起こったんだ」。医者に言わせると、“ゴルフ指”。テニス肘のように、何人かのゴルファーに発生している症状だという。
その後、痛みが完全に無くなるまで、炎症を起こしていた関節周囲の何カ所かにもコルチゾン注射を打ち、今では痛みがない状態にまで回復した。「マスターズの時も含めると、(痛みがあったのは)ほぼ三ヶ月になる。それは長い時間だったよ」とデイは言う。「背中が痛くても、膝が痛くてもなんとかできるかも知れないけど、クラブを握ることができなかったら、面白くない。だから、手と指を過小評価してはダメなんだ」。(オハイオ州ダブリン/今岡涼太)