石川遼、決意のプレースタイル改革へ
「今のゴルフをやっていても、意味がない」。先週、テキサス州にあるコロニアルCCで行われた「クラウンプラザインビテーショナル」で予選落ちを喫した石川遼。数週間前から薄々感じていたという焦燥感は、松山英樹の優勝争いによって鮮明に浮かび上がった。
予選通過を目指した大会2日目、上がり3ホールで石川は7番、8番でバーディを奪い、最終9番もバーディチャンスにつけて盛り返した。「危機的状況にならないとああいう力を出せないというのは、置きにいくゴルフをやり過ぎていたんだと思う」。
米国男子ツアーに初めてフル参戦した昨シーズン、シード権を得ることに苦労する中で、毎試合フェデックスカップポイントを1ポイントでも多く獲ることの重要性を痛感させられた。その結果、今シーズンはまず予選通過を優先し、そこから決勝ラウンドで少しでも上位に行く、というプレースタイルで戦って来た。いや、戦うことを余儀なくされた。
それは、「ドライバーでフェアウェイ左サイドを狙って、ちょっと擦ってフェアウェイ右サイドでもよしとしていた」というように、理想の球を追い求めることを忘れさせ、目先の結果に満足する気持ちを生んでいたという。
「(松山)英樹を見ていると、ナイスショットかミスショットしかないという世界でやっているように見える。僕は、ナイスショットとミスショットの間が多い」。
窮屈な思いをしながら小さなゴルフをしていては、伸びしろは限られている。「大きなミスをしなければよしとなって、小さなミスに気付けずにいた」。来年のシード権も当確となった今だからこそ、さらなる成長のためにゴルフを変えていかないとダメだと痛感した。「英樹の存在は大きいし、一緒に練習ラウンドをしていなかったら、気付くのに遅れたかもしれない」。
今週の「ザ・メモリアルトーナメント」が開催されるミュアフィールドビレッジGCは、グリーン回りの難易度が高く、ピンポイントで狙っていく高い精度のショットが要求される。「すごくテストになると思う」と石川。「マネジメントして安全策をとるのは大賛成だけど、その安全策をとったショットをさらに置きにいくという気持ちがよくない。どんなクラブでも理想の球というのがある。理想の球を打つには攻める気持ちと、攻めるスイングがないといけない」。目に見える変化は小さいかも知れないが、石川の心の中は先週までとはがらりと変わった。(オハイオ州ダブリン/今岡涼太)