ワクワク?不安?優勝争いに挑む松山英樹の胸の内
テキサス州フォートワースにあるコロニアルCCで行われている米国男子ツアー「クラウンプラザインビテーショナル」の3日目、同ツアーでの自己ベストを更新する「64」(パー70)で通算7アンダーまでスコアを伸ばした松山英樹が、首位タイでツアー初優勝を目指す最終日最終組へと駒を進めた。
だが、「不安の方が大きいです」とは、3日目を終えた直後の松山の弁。「当然、ワクワクもありますよ。でも、良くない部分が出たらどうなるか?今日良かったパッティングがすべて入らなかったらどうなるか?マイナス要素をすごく考えたりします」。
無骨で、なにものにも物怖じしないように見える松山だが、心の中の闇の部分は否定しない。「いつもですよ。プラスで考えることはあまりない」。そんな不安を克服して、日本では5つの勝利と賞金王をもぎ取ってきた。
松山にとって、今季開幕戦の「フライズドットコムオープン」での3位タイが米国男子ツアーでの最高位だが、初優勝に一番近付いたのは今年2月の「ウェイストマネジメントフェニックスオープン」。最終日に首位と1打差まで迫ったが、優勝争いのプレッシャーの中で「思うように打てなかった」というパットに泣いて4位に終わった。
その時の悔しさは、松山の胸の中に今もしっかりと刻まれている。「だから優勝争いの中で、今のパッティングが通じるか、通じないか分かると思う。それを確認しながらやっていきたい」。
昨日まで、パットのスコア貢献率は1R:-1.047、2R:-1.868だった松山だが、この日は一気に3.673とプラスに転じた。弱みをつぶし、強みへと変貌させるのがこの男の頼もしさ。「だいぶ調子が上がりつつあるので、(不安も)1つ良いショットが出れば消えていく。バーディ先行で行けたら楽しみな1日になると思う」。フェニックスでの借りを返す時がやってきた。(テキサス州フォートワース/今岡涼太)