病魔とケガを乗り越えたJ.B.ホームズの復活V
ノースカロライナ州のクエイルホロークラブで開催された米国男子ツアー「ウェルズファーゴ選手権」を制したのは、2008年以来タイトルから遠ざかっていた32歳のJ.B.ホームズ。単独首位で迎えた最終日に4バーディ3ボギーで1つ伸ばし、1打差で辛くも逃げ切った。
2打差リードで迎えた最終18番は、パーオンに失敗して1メートルのボギーパットを残す冷や汗の展開だった。外せばプレーオフ。大観衆も息を呑んで見守る緊迫した空気の中、ホームズはアドレスに入る直前、顔を上げて目をつぶり10秒ほど静止。静かに深い息をついた後でゆっくりとアドレスに入り、ウィニングパットをカップの真ん中から沈めた。
「ちょうと興奮気味だったから、気持ちを落ち着かせていたんだ。あの瞬間を楽しんでもいた。この1打を打つ機会を与えてくれた神に感謝をしながらね」。
通算3勝目を手にするのに6シーズンを費やした理由の1つは、その間、病魔と怪我が次々とホームズを襲ったことだ。
「2011年(5月)のザ・プレーヤーズのころに、それは起きたんだ」という、めまいのような症状と頭痛。『キアリ奇形』という脳の奇形の一種と診断され、同年9月に手術を受け、12年1月に復帰した。13年3月にはローラブレードを楽しんでいる最中に左足首を骨折。再びツアーからの離脱を強いられ、昨シーズンは大半を棒に振っていた。
今シーズンは公傷制度の利用によって出場し、今年1月からの11試合目でつかんだ復活勝利だった。「オフシーズンに、それはハードに練習を積んでいたんだ。去年はずっとオフだったようなものだったからね。再び優勝者たちの輪に戻ってこられて嬉しいよ」。
ホームズはこの勝利により、最後の1枠とされていた次週開催の「ザ・プレーヤーズ選手権」出場権も獲得。過去7度の出場では、11年の6位タイを含めて4度のトップ16入りを果たしており、相性の良さが光る舞台だ。「コースは難しいけれど、大好きな試合だから楽しみだね」と、3シーズンぶりに戻るビッグトーナメントを見据えた。(ノースカロライナ州シャーロット/塚田達也)