チューリッヒでの復活を誓ったホーシェル
試合はまだ始まってはいないが、ビリー・ホーシェルは彼らしいプレーを取り戻しているようだ。
ビリー・ホーシェルは昨年、ここニューオーリンズで最後のパットを決め、米国ツアー初優勝を飾った。今週、彼の頭にあることと言えばもう一度ここで勝利を挙げることだ。
昨年、ホーシェルがTPCルイジアナに到着した時点で、彼が勝利することはもはや決められたことのようであった。昨シーズン、ホーシェルは最初の3大会連続でトップ10入り。「チューリッヒクラシック」は、初勝利を狙っていた彼にとってまさに天の恵みだったのだ。72番目のホール(最終日の18番)で、バーディを決めたホーシェルはD.Aポインツに1打差をつけ、感動的な優勝を飾った。
「あの時、カップは僕の目にこんな風に映ってたよ」とホーシェルは腕で洗濯カゴサイズの円を作りながら言った。「でもね、今僕の目に映るカップはこれくらいかな」と人差し指と親指で円を作りながら、少し悲しそうな笑顔を浮かべて言った。「だからパットが決まったんだろうね。僕はいつでもしっかりと打って良いプレーをするだけさ。全てはグリーン次第だよね。」と続けた。
両手を握り締め、ホーシェルが大きく勝利のポーズを表したあと、彼の優勝を祝おうと、電話が鳴り続いたが、相手は彼の家族や友人だけではなかった。その為、メディアセンターまで辿り着くのに時間を要した。新しいスポンサーも決まり、コマーシャルにも出演、そして「ゴルフチャンネル」の「モーニングドライブ」にレギュラー出演するようになった。ここまでの経験から、彼が今大会最初のティで紹介される時これまでとは何かが違うだろう。
「生活は変わったけど、結局は変わらないよ」とホーシェル。「いつでも皆を喜ばせてあげたいから、時々『ノー』と言わなければいけないのは辛いね。本当に断るのは苦手だけど、その度合いによるよね。メディアからの注文を沢山受けて、それを取り入れれば、正しいことをしてるとされるわけだしね」
「米国ツアー優勝によって変わった事は、報道関係に費やす時間が増えたってことだけじゃないんだ。パトリック・リードはここ8ヶ月で3度経験しているから、彼に聞けば分かるよ」と続けた。
「いきなり特別なグループに入れられて、世界トップの選手と一緒にプレーをするんだ」とリード。「米国ツアーで2年プレーをして、プレッシャーを感じすぎないように自分なりの息抜きも覚えた。でも、もしそこで抜きすぎて失速してしまうと、他の選手達にどんどん追い抜かれて行ってしまうんだ」
ホーシェルは、ニューオーリンズでの勝利のあと「全米オープン」で4位に着くだけの余力は残っていた(あの週の2日目、ホーシェルは全てパーオンしたが、それよりも最終日に彼が履いていた『オクトパス・パンツ(タコのパンツ)』の方が印象的だが)。
マリオンの後、ホーシェルはトップ10入りから遠ざかった。昨シーズン残り10試合の中でトップ10入りできたのはたった1試合だったのだ。それは僅か30選手のみが参加したザ・ツアー選手権byコカ・コーラでの7位タイであった。
「彼は疲れていただけだよ」とホーシェルのエージェント兼ビジネスマネージャーのシェリー・ウェイは述べた。「早い段階で沢山の試合に出場して、沢山パットを決め優勝を果たした。だから精神的に疲れきっていたんだね」と続けた。
2013-2014の最初の半シーズンは不調から抜け出すことはできなかった。1月のヒュンダイトーナメントofチャンピオンズ以降トップ10入りはなかった。
「昨年のパットと同じようなパットをしようとプレッシャーをかけ、余計にプレーができなくなっていた」とホーシェル。「『昨年この場所、この大会で良いプレーができたから今年も上手くできるだろう』ということにばかり着目できないんだ。全く同じ結果が得られるかって?それは違うけど・・でもそういうもんだよね」と続けた。
2013年の4月に比べて今はまだ見通しが悪いが、少しずつ上昇傾向にある。
誰もがホーシェルは「際どい」と言っている。彼の確信づいた何かによって、周囲は彼を信じてしまうのだろう。彼のスタッツを見ると、スランプから抜け出す準備は整っているようだ(ボールストライキングは米国ツアー3位、ドライビングでは7位)。オーガスタナショナルでは初出場で予選を突破しており、ニューオーリンズでも自信を持ってプレーできることは間違いないであろう。
「マスターズや全米オープンより、この大会を楽しみにしていたよ」とホーシェル。「このコースでは沢山いいことがあったから、ここに来るといつも安心感があるね」と続けた。
ホーシェルは先週パターを変え、PINGカースタンTRB60を使用している。ゆっくりではあるが、グリーン上で徐々に自信が持てているのは間違いない。彼自身も、ボールの回転をかける、ラインをしっかりと狙うことができるようになっていると感じている。
「とにかく全力を尽くすよ。あとはボールが上手くホールに入ってくれる事を祈るしかないね。それしか僕にはできないから」とホーシェル。
今大会にホーシェルは、昨年のように優勝候補としての登場ではないかもしれないが、それは彼にはどうでも良いことである。一度、優勝を手にして成功をおさめた彼は、もちろんもう一度ここで優勝するチャンスがある。
「ここ最近、いいプレーはできていないけどね」とホーシェル。「でも、ここで節目をつけて良いゴルフをする準備は整ってるよ」