2014年 RBCヘリテージ

石川遼、「感性のゴルフ」で起死回生の予選突破へ

2014/04/19 06:32
球の当たった木を見上げ、幸運なショットに笑顔を見せる石川遼

サウスカロライナ州にあるハーバータウンGLで行われた米国男子ツアー「RBCヘリテージ」の2日目。初日に6オーバー124位と出遅れた石川遼は、2日目に5バーディ、2ボギーの「68」(パー71)と巻き返し、通算3オーバーの暫定59位タイで予選突破を確実にした。最終9番のミラクルバーディで、週末の切符をたぐり寄せた。

予選通過のためにはバーディがどうしても欲しかった9番パー4。3Iの低く抑えたティショットは左ラフへと曲がっていった。ピンまで残り127ヤードで、ライは左足下がり。約30ヤード前方には、高さ20メートルほどの大木がピンを遮るように立っていた。

「絶対に上がらない」と言うキャディのサイモン。「AWで木を越えるだけなら出来るかもしれないけど、それだと絶対(グリーン)に届かない。バーディを獲るために距離感を合わせないといけなかった」という石川は、PWのフェースを開いて振り抜くと、木のてっぺん近くの葉っぱに当てながらも、ピン上1.5メートルにピタリとつけた。この「カップ1個」というスライスラインを「シビレながら」沈めて、カットラインに滑り込んだ。

「木に当たらなかったら7ヤードはオーバーしていた。アンビリーバブル・ラッキーね」とサイモンが言えば、石川も「ほんとにラッキー」と口を揃えた奇跡の1打だった。

朝から「自分の状態が悪いことに気がついていた」というショットの不調が伏線だった。いつもは理想のスイングを追い求める石川だが、「このコースなら、どんなに格好悪いスイングでも、狙ったところに球を置いていければなんとかなる。それが最後の望みだった」と、プライドを脱ぎ捨てた。

この日のフェアウェイヒットはわずかに5回。それでも、前半を1バーディノーボギーで折り返すと、後半は2つのボギーを叩きながらも4バーディと盛り返した。「最後のショットはスイングうんぬんじゃなく、球をあそこに上げる、この距離を打つっていう感性が大事になってくる。今日1日そういうことだけを考えてやってきたのが、最終的には良かったと思う」。

だが、感性のゴルフが長続きしないことは、石川本人が誰よりも分かっている。「修正というか、修正以上に練習していかないといけないと思う」。アウトサイドインのカット軌道に入る癖が出始めたのが、不調の原因。幸運にも恵まれて与えられた残り2日間で、課題をこなす。(サウスカロライナ州ヒルトンヘッド/今岡涼太)

2014年 RBCヘリテージ