2014年 マスターズ

「なぜ僕が?」バッバ・ワトソン、6試合で2度目のマスターズ制覇に涙

2014/04/14 10:06
2年ぶりのマスターズ制覇。アンジー夫人と勝利のキス(Andrew Redington/Getty Images)

ジョージア州にあるオーガスタナショナルGCで行われた今季メジャー初戦「マスターズ」を制したのは、最終日を首位タイから出たバッバ・ワトソン。5バーディ2ボギーの「69」で回って通算8アンダーとし、2位に3打差をつけて悠々と2着目のグリーンジャケットを手に入れた。

序盤は、史上最年少優勝を目指すジョーダン・スピースのペースだった。スピースは4番(パー3)ではバンカーからチップイン、6番(パー3)でもピンそば30センチにつけるスーパーショットでバーディを重ね、スコアを伸ばした。

だが、ワトソンは焦らなかった。4番では喧噪の中、2メートルのバーディパットを入れ返し、6番でもスピースより先にバーディパットをねじ込んだ。「あれは本当に大きかった」。

勝負の分かれ目となったのは、前半を折り返す前の2ホール。8番(パー5)は残り247ヤードを5Iでグリーン奧にこぼしたが、そこから50センチに寄せてバーディ奪取。続く9番では30センチ以上左に切れる下りのバーディパットをカップへと流し込んだ。その一方でスピースは2連続ボギー。わずか2ホールで形勢は逆転した。

インに入ると、ワトソンは全選手中1位の飛距離で圧倒した。左にドッグレッグする13番(パー5)では、ドライバーで林の上をショートカットして飛距離366ヤードを記録。2打目はSWで楽々とグリーンをとらえ、後続を突き放した。

数少ない苦手ホールの1つに挙げる18番では3Wでフェアウェイをキープして、最後はタップインパーでのフィニッシュ。キャディと抱き合ったあと、グリーン上によちよちと歩み寄った2歳の息子・カレブ君を抱き上げて、妻・アンジーと3人で喜びを分かち合った。

初出場から「マスターズ」6戦目にして2度目の優勝は、ホートン・スミスの3試合に次ぎ、アーノルド・パーマーらに並ぶ2位タイの最速記録。グリーン上で見せた涙の意味をワトソンは打ち明けた。

「PGAツアーでプレーするのは夢のよう。勝つことも大きな夢だし、メジャー大会で勝つことはもっと大きな夢なんだ。だから、いつも泣くんだよ。なんで僕なんだって?なんで、フロリダのバグダッドから来たバッバ・ワトソンなんだってね?」

その質問に答えられる人間はいないだろう。ただ、選ばれたことに対する感謝の思いが涙となって溢れてくるのだ。(ジョージア州オーガスタ/今岡涼太)

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