石川遼、今季3度目のトップ10「ゴルフ人生の中でも一番充実」
フロリダ州のベイヒルクラブ&ロッジで行われた米国男子ツアー「アーノルド・パーマーインビテーショナル」最終日。7アンダーから出た石川遼は5バーディ、2ボギー、1ダブルボギーの「71」で回り、通算8アンダーの8位タイで4日間の戦いを終えた。
ギャラリーが大挙したサンデーアフタヌーンの熱気の中で、石川は自身の成長を噛みしめていた。「結果に対してうまくいった、嬉しいという気持ちよりは、充実感の方が大きい」。優勝を争うことはできなかったが、1月の「ファーマーズ・インシュランスオープン」以来、今季3度目のトップ10入り。だがその数字以上の満足感が、手の中にあった。
前週の「バルスパー選手権」で見せた忍耐強さとショットの復調。この2つを、最終ラウンドも存分に見せつけた。1番からボギーを叩いてスタートしたが、4番(パー5)では、グリーン右手前から3打目のアプローチをミスした直後、4打目でチップイン。6番(パー5)では3番アイアンで2オンに成功し、2パットで2つ目のバーディを取り返した。
後半12番(パー5)では、第2打をグリーン左のブッシュへ打ち込み、アンプレヤブルを強いられるトラブル。ショートゲームも振るわず5オン2パットでダブルボギーを叩いた。だが直後の13番で4メートル強を決め、16番(パー5)では、右足を冷たいクリークに入れて放ったラフからのアプローチをピンそば2メートルに寄せてバーディを奪う。
ナイスリカバリーの続出にギャラリーが沸き立つラウンドの仕上げは最終ホール。フェアウェイから残り148ヤード、池越えの第2打をピン奥1メートルにズドンと落とし、大歓声の中心でバーディフィニッシュ。我慢の末の確固たる結果に、凛として言った。
「今が一番、自分のゴルフ人生の中でも精神的にも充実している。日本のツアーで(年間)4勝、3勝としたが、今の方がショット、アプローチ、パットも圧倒的に成長した」。
同組でプレーしたイアン・ポールター(イングランド)からかけられた「このプレーをしていれば、来週も再来週も良いプレーができる」という言葉も、その自信を後押しした。
フロリダスイングを終え、続くは急きょ参戦を決めた27日(木)開幕の「バレロテキサスオープン」と翌週の「シェルヒューストンオープン」。4月の「マスターズ」出場には、ツアー初勝利が必要な状況になった。しかし「試合が続いて、体力的にはキツイかもしれないけれど、比べ物にならないくらい充実感がある。『来週は何を学べるんだろう』と思える」と力強い。自らにムチを入れてテキサスへと向かう。(フロリダ州オーランド/桂川洋一)