体調回復 必死の形相の松山英樹「あれだけ活躍されると悔しい」
マレーシアにあるクアラルンプールG&CCウェストコースで開催される今季米ツアー第3戦「CIMBクラシック」の開幕前日、松山英樹は高温多湿のアジアの地で、大粒の汗を滴らせながらプロアマ戦に出場した。
前週は胃炎による体調不良で急きょ欠場したが、「休むというより、試合に来る準備をしていた」と戦闘モードは継続していたという。「(体調の)行ったり来たりもあったけど、試合に臨める状態まで戻った」と、今週は元気な姿で戦線復帰を果たした。
一時帰国を経て月曜日に当地入りした松山は、翌火曜日にアウト9ホールをラウンド。最終ホールでは、後ろの組でプレーしていたフィル・ミケルソンが合流し1ホールを共にプレー。「とても才能あるゴルファー」と松山を評するミケルソンは、プレジデンツカップでの経験を引き合いに出し、「世界の一流選手と過ごした1週間は、彼がどれだけ素晴らしいかだけでなく、今後なにに練習時間を費やせば良いかということも示した貴重な経験になるだろう」と、松山のさらなる飛躍を示唆していた。
「意外と狭くて、グリーンが硬い。ティショットでフェアウェイをキープすることが大事になってくる」とコースの印象を語った松山。「見た目以上にアップダウンがあって、距離を感じる」と、ドライバー以外でフェアウェイキープすることの難しさも警戒する。「でも、今週は予選落ちがないので、安心してできますね(笑)」と、最後はリラックスした表情も見せていた。
しかし、プロアマ終了後の松山は必死の形相に変わっていた。「疲れは当然ある」と言いながらも、日没と競うように打撃練習場からアプローチグリーンへと移動して球を打ち続けた。2週間前と比べるとショットの調子は「1%くらいまで落ちた」。体重も5キロは落ちた。
「ゴルフがここまでできるようになったので、それは良かった」というが、強い口調でこう付け加えた。「でも、休んだところであれだけ活躍されると悔しいし、自分も頑張ろうという刺激をもらった」。同い年の石川遼の前週2位という成績は、松山の心を激しく揺さぶった。
今週は予選カットがない試合。「それは、だいぶ楽ですよ」と話すが、再び同じ言葉を繰り返した。「でも、先週あれだけ活躍しているものをみれば、上位で戦いたい気持ちは強くなる。今週は勝てる準備ができなかったけど、それでもベストを尽くして優勝争いができるまで持っていきたい。それで、今週しっかりと良い状態まで戻して、来週が(自身の)米ツアー今季最終戦なので、そこに照準を合わせたい」。欠場した1週間で得たのは、これまで以上の強烈なモチベーションだ。(マレーシア・クアラルンプール/今岡涼太)