松山英樹、16位タイで来季シード獲得へ前進
キャディの進藤大典(しんどう・だいすけ)氏は振り返る。「僕は当然、刻むつもりでした」。サンデーバックナインの13番(パー5)、ティショットをフェアウェイに置いた松山英樹は、ピンまで残り261ヤード。アゲンストで、グリーン手前にはクリークが流れている。
「RBCカナディアンオープン」の最終日、通算7アンダーの24位タイからスタートした松山英樹だが序盤は波に乗りきれない。8番では不運なキックで木の下に球が入ってアンプレヤブルとするなど、前半を2オーバーでターンする。
「あそこまで流れが悪いと、狙っていかないと流れも変わらないと思うし、少しでも順位を上げてシードに近づきたいっていう気持ちはありました」という松山。進藤キャディは「1日1回はチャレンジが必要。若いのに逃げ癖がつくのも可哀想」と、この選択に頷いた。
3Wを振り抜いた松山の球は、クリークを越え、フェアウェイを駆け上がって見事にピン下10メートルへ止まる。イーグルパットは緩やかなフックラインを描き、最後の一転がりでカップへ沈んだ。「またショートかなと思ったけど、入ってくれて良かったです」と笑う。「刻んでもバーディを獲れる可能性は残っていましたけど、今の自分の力じゃミスしても狙っていった方が後悔しないと思ったので」と、この決断を振り返った。
このイーグルをきっかけに、さらに2バーディを追加した松山。最終18番(パー5)でも会心のドライバーショットでピンまで残り179ヤード。8Iの2打目も「打った瞬間、イーグルだと思った」というが、風に運ばれ奧のバンカーへ。最終ホールでスコアを伸ばすことは出来なかったが、この日「70」、通算9アンダーの16位タイで4日間を締めくくった。
「トップ20に入れたので、良かったかなと。一時は40位前後まで落ちたから、圏外から良く戻したなと思います」とシード獲得に向けた連戦2戦目で、さらなるポイントの上積みに成功した松山。今大会でフェデックスカップポイント53点、賞金84,000ドルを追加し、それぞれ229点(153位相当)、501,907ドル(130位相当)とシード獲得となる125位に向けて前進した。
その一方で、見えた課題はアプローチ。「ショットはヘッドスピードが出るから多少の抵抗があっても大丈夫だけど、アプローチはそのスピードが出ない分、芝に噛まれたり、逆に抜けすぎたりしてしまう。その状況判断も含めてまだまだ経験していかないといけないと思う。どう変えていくか。そのために、早くこっちに来たいなと思います」。
次週は「WGCブリヂストンインビテーショナル」に出場する松山。米ツアーに向けた思いは、強くなるばかりだ。(カナダ・オークビル/今岡涼太)