最終組のスタートまで待ったが…、遼は出場ならず
「WGCアクセンチュアマッチプレー選手権」のウェイティング順3位の石川遼。本戦に出場できる可能性は低いが、最後の望みを託して、大会初日の水曜日は第一組がスタートする7時30分より早い、6時過ぎにはコース入りし、7時前から練習場でウォームアップを開始した。
「トーナメント出場に期待する気持ちもあったけど、それよりも質の高い練習をしようと思った」という石川。昨シーズンから取り組んでいる体力トレーニングの効果もあり、11時過ぎまで4時間以上、延々と打ち込みを続けた。
周りでウォームアップをしているのは、世界ランク・トップ64人の選手だけ。最高の手本が揃っている環境で、石川は目からも多くの事も吸収した。「体のぶれや頭の上下、クラブの無駄な動きがなくて落ち着いて見えました。特にミケルソンをじっくり見ましたが、その後に自分が打とうとすると情けなくなるというか、恥ずかしくなる。それくらい違いを感じました」。
石川が練習を止めたのは、最後から3組目、12時02分スタートのタイガー・ウッズが練習場に入ってきた直後のこと。「タイガーのショットは見たかったけど、他の選手はタイガーのショットを見ないだろうなと思ったし、僕以外の選手はすぐに戦いが始まる。堂々と人のスイングを見る訳にはいかないので、僕ももういいかなって自然と思いました」。タイガーに対する敬意が、戦いの場に立てない石川の練習を止めさせたともいえるだろう。
この2週間の米ツアーへの挑戦で、ラフからのロブョットなど技術的にも成長した石川。「まさか出場出来ないのに、こんなに充実した毎日を送れるとは思いませんでした。今シーズンというか、これからのゴルフ人生を通じて、最高の始まり方が出きたと思う」と初めての米ツアー出場と、その後の一週間を振り返った。この2週間で一番の思い出は、タイガーとの対面だったという石川。「今はまだ遠い存在だけど、将来は一緒に回ったり、戦えるような選手になりたい」と、強い思いを胸に刻んだ。