【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全米OPレポート〈6〉】
藤田さんの全米オープンが終わりました。最終日の今日は4オーバー。ショットの調子も良く、大きなミスショットもほとんど無かったですね。
スコアを落としたのは僅か3ホール。1番ホールのボギーと13番ホールのダブルボギーは完全に僕のクラブの選択ミスです。打ったのは選手だからって言う人もいるけど、藤田さんはあきらかに自分が思っていたクラブじゃなく、僕が選んだクラブを手にしてくれたから…。
この大舞台でのミスジャッジは痛過ぎるけど、僕もその場では100%の自信があってそのクラブを推したわけだから悔いはありません。
ただ、甘いですよね。
今思えば、その時の風向きとグリーンの硬さを考えたら僕の選んだクラブは大き過ぎた。このセッティングでは、奥にこぼす事だけを絶対に避けなきゃいけなかったのに…。
藤田さんの4日間のゴルフは本当に素晴らしかった。今年の全米オープン51位は、藤田寛之の全てを出し尽くした結果です。あの藤田さんが全力を尽くしてもまだ世界には上に50人もいるんですから、やはりここはとんでもないところですね。だから面白いのかな。だからまた藤田さんもここに来たくなるんだろうな。
選手も、そしてキャディも凄い奴らがゴロゴロいる全米オープンだけど、ただ1つだけ僕らが1番になれた事があるんです。一緒に回ったどの選手も、どのキャディもみんな驚いてた。
「お前らは、14年もコンビを組んでるのか!?」って。
それだけはやっぱり自分の“誇り”ですね。この世界最高峰の舞台に上がっても、それだけ長くコンビを組んでる選手とキャディは誰一人いないんだもん。僕にはゴルフの能力もキャディの能力も無いけれど、藤田さんとの「絆」だけは誰にも負けない自信があります。
それを最大の武器として、2人で必ずまたここに戻ってきますから。最後になりますが、優勝したウェブ・シンプソン。今日の18番ホールのピンポジションは、ティショットをラフに入れた時点でほぼパーセーブは厳しくなります。
シンプソンは左のラフからセカンドショットを奇跡的な位置にまで運び、アプローチで究極のタッチを出してピンそば1メートルにまで寄せました。テレビで見ていたら簡単そうに見えたと思いますが、あのアプローチを、あの状況で、あれだけの距離に寄せられるのは、相当な技術と勇気が必要なんですよ。
また1人、アメリカツアーにスーパースターが誕生しましたね。明日、日本に帰って、木曜日からすぐに「ミズノオープン」が始まります。来年の全米オープンを目指して、藤田さんとまたイチから頑張りますので応援して下さい。
この一週間レポートを読んで下さり、本当にありがとうございました。