2012年 マスターズ

【石川遼専属キャディ・加藤大幸のマスターズレポート〈4〉】

2012/04/07 09:58
この悔しさを糧とし、来週開幕する国内ツアーに臨む石川遼と加藤キャディ(Andrew Redington/Getty Images)

「早く次の試合をやりたい」。まずは今の率直な気持ちです。

今日の遼はスタートから緊張した様子はありませんでした。大丈夫かな、と言うくらい良い意味で緊張感が無く、今まではそれで悪くなることも無かったので。だからこそ出だしは痛かったです。

オーガスタで上位に来るためには、やはり自分の性格をよく知らなくてはいけません。「こういう時はゆっくりとやろう」、「今はスムーズに行こう」と。昨日、今日と一緒に回ったカプルス選手は、大事なところになると時間をかけて、波に乗っているときは早くプレーしていました。「さっきはあんなに迷ってたのに、今度はそんなに早く打つんだ…」ということが何度もあったんです。自分のことを良く分かっていないと勝てないし、上には行けないコース。ここで若いうちに勝つというのは本当に難しいことなんだと改めて感じました。

でもこの遠征でつかんだショットへの手応え、遼のレベルアップも感じることができました。去年は20位タイ、スコアも(通算)3アンダーで回れたけれど、あとから「じゃあ、何が上手かったんだろう?」と考えてしまいました。今年は結果的に9オーバーだったけれど、「いいショットがあったのに、なんでこんなに打ってしまったんだろう」という感覚です。

今年でコンビを組んで5年目。遼のすごさは、いまだに僕がビックリさせられるようなショットを打ってくるところです。正直言って、試合中にアドバイスしにくくなったりすることもあるくらい。打つ前に「こんな判断はありえないけど、コイツだったら、やっちゃうかもしれない…」と思うことがあって…。

タイガーの前のキャディ、スティーブ(・ウィリアムズ)は「今考えると、タイガーは“クレイジーショット”があって、疲れたけれど、やっていて楽しかった」と言っていました。そういうショットを近くで見られるのは本当に幸せなことです。たくさんの人が、そういうショットを見たいと思ってくれている。世界で本当に少ない数の何人かが、そういうものを“持っている”のだと思います。だからこそ、これからも遼のそういった部分を大事にしてあげて、うまくコントロールしてあげたい。

残念な結果でしたが、自信が無くなったわけではありません。良いショットもあったので。次の試合を早くやって、早く結果を残してあげたいな、という気持ちです。来週から日本ツアーが始まりますが、一昨年までのように何度も勝ちたい。今年に入って、2人で冗談話をしたんです。「7勝するぞ!」って。そのくらい強い気持ちを持って行きます。

20歳でマスターズ優勝はできませんでした。でも、あいつはいつか、絶対勝てる人間だと思っています。これからも、応援どうぞよろしくお願いします。

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