2011年 全米プロゴルフ選手権

【特集 タイガー・ウッズの見方(6)】テレビ解説者&プロゴルファーの視点

2011/08/11 13:38
フランク・ノビロ/ニュージーランド出身のプロゴルファー。現在はゴルフチャンネルで解説者を務めている。

8月第1週の「WGCブリヂストンインビテーショナル」で度重なる故障から約3か月ぶりに戦線復帰したタイガー・ウッズ。だが同大会では37位タイと振るわず“復活”への光はなかなか見えてこない。スキャンダルの問題が発覚して以降、勝利の無いタイガー。ロリー・マキロイら新世代の台頭も著しい昨今、あの強さはもう戻ってこないのか。そんな疑問をPGAツアーで取材活動を続ける関係者に「全米プロゴルフ選手権」会場でぶつけた。最終回はゴルフチャンネルの解説者で、プロゴルファーのフランク・ノビロ氏。

―タイガーが戦線復帰したタイミングをどう思うか
「あのタイミングしかなかった。メジャーの前に1試合出たいというのがタイガー。スイングを変え、足のケガから回復し、シューズも変えた。そしてキャディも変えた。彼のキャリアで過去にこんなに一気に物事を変えたことは無い。変えるためには慣れる必要があるから、場合によってはもっと早いタイミングで帰ってきても良かったと思っているのではないか」

―今の状態はキャリアの中で最も悪い時期か
「怪我は完全に治っているように見える。今後スキャンダル以前と同じ状態まで戻ることは難しい。現在のタイガーの状態は、ジャック・二クラウスがメジャーで14勝(通算18勝)を挙げた頃に似ている。ゴルフの面では戻ってきているが、精神的にはまだスキャンダル以前のままだ」

―今大会を取材するうえで、タイガーの優先順位は何番目か
「最初に選ぶ5人の中の1人。現在のトップスターであるマキロイ、今週最も勝つチャンスがあると思われているウェストウッド、人気選手であり今大会の会場で行われた2001年大会で活躍したミケルソン、先週の大会でようやく自分のプレーができ、今週どうなるか注目が集まるイシカワ、そしてタイガーだ」

―スキャンダルで米国人のタイガーに対する見方は変わったか?
「プライベートとゴルフは分けられない。ファンは超一流の選手のすべてを知りたいもの。どんな生活をして、どんな車に乗っているのかと、だがそこまで興味をもたれるのはモハメド・アリ、デビッド・ベッカム、デレク・ジーターやマイク・タイソンのような人々。もちろんタイガーも同じだ。ゴルフでお金を稼ぐということは、賞金を獲得するだけでなく契約している会社に対して責任を負うということ。企業との契約金はファンが払ったお金。だから企業イメージを保つ責任がある」

―メジャー通算14勝のタイガーは復活し、ジャック・二クラウスの通算18勝の記録を上回ることができるか
「今となっては難しい。ゴルフだけでなくプライベートの問題と同じくらい修復は難しい。彼は精神的に立ち直れていない。メンタル、フィジカル、そしてゴルフゲームへの試合勘がすべて戻ってこないとジャックの記録には立ち向かえない。彼へのアドバイス?本当のこと、真実をすべて話すべきだ。誰でも問題は起こす。それを正直明らかにする姿勢が大切だ」

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