【特集 タイガー・ウッズの見方(2)】ラジオリポーターの視点
8月第1週の「WGCブリヂストンインビテーショナル」で度重なる故障から約3か月ぶりに戦線復帰したタイガー・ウッズ。だが同大会では37位タイと振るわず“復活”への光はなかなか見えてこない。スキャンダルの問題が発覚して以降、勝利の無いタイガー。ロリー・マキロイら新世代の台頭も著しい昨今、あの強さはもう戻ってこないのか。そんな疑問をPGAツアーで取材活動を続ける関係者にぶつけてみた。第2回はラジオ番組の名物リポーター、ボブ・ブブカ氏。
―タイガーが戦線復帰したタイミングをどう思うか
「医者が試合に行ってもいい、タイガーも戻って戦いたいという気持ちがあった。パーフェクトなタイミングだったと思う。彼の故障は完全に治っていると思う。練習もしっかりしてきたようだ」
―今の状態はキャリアの中で最も悪い時期か
「練習場でも先ほどすごくいいボールを打っていた。今週勝ったとしても驚きではない。しかし以前のタイガーは、とんでもない存在だった。歴史的に見ればベートーベンやアインシュタインのようにね。まさに超人的だった。だが今は違う。ミケルソン、エルス、ガルシア、そして若い選手たち、マキロイ、イシカワ、ファウラーも、タイガーをやっつけてやろうという気持ちになってくる」
―今大会を取材するうえで、タイガーの優先順位は何番目か
「5年前、10年前であれば間違いなくタイガーが1番だった。だが今は5人のうちの1人だ。現在は様々なキャラクターを持った選手がいる。観戦に来た知人に誰を追ったらいい?と言われたら、スコットやミケルソン、ジェイソン・デイ、抜群の飛距離があるダスティン・ジョンソン、そして獲得賞金の寄付もしているイシカワ・・・いった具合に何人かの選手を上げる。その中のひとりにタイガーがいる」
―スキャンダルで米国人のタイガーに対する見方は変わったか?
「アメリカ人のファンはスキャンダルの前のタイガーを良き夫で、良き父だと言っていた彼を信じていた。だが彼はそれを裏切った。ショックは大きかった。過去のこととして考え始めてはいるが、完全に忘れたわけではない。それが彼の伝説の一部になった。タイガーがもし、独身で結婚していなかったらひとつのキャラクターとして見られたかもしれない。だが、彼はそうではなかった。たくさんのお金、敬意、契約、そしてたくさんのファンをなくした。そして自分のゴルフゲームもね」
―メジャー通算14勝のタイガーは復活し、ジャック・二クラウスの通算18勝の記録を上回ることができるか
「ノー。1つ、2つ勝つ可能性はあるだろうが、5勝する余力は残っていない。今となってはマキロイがタイガーを恐怖に感じる以上に、タイガーはマキロイに恐怖を感じているのではないだろうか」