2011年 WGCブリヂストンインビテーショナル

好スタートのタイガー、バンカーセーブ率が今週の分かれ道

2011/08/05 09:41
16番では右ラフからスライスでチャンスを迎えたタイガー・ウッズ(Sam Greenwood/Getty Images)

左膝とアキレスを痛め12週間ツアー競技から離れていたタイガー・ウッズが戻ってきた。アメリカ・オハイオ州ファイヤーストーンCC南コースで開催の「WGC(世界ゴルフ選手権)ブリヂストンインビテーショナル」は、タイガーが過去7回優勝を挙げている大会。タイガーは4月のマスターズの3日目、17番で木の下からのショットを打つ際に不安定なスタンスでの強振時に左膝を痛めてしまった。その後5月の「ザ・プレーヤーズ」で復帰を試みるものの、初日プレー中に左足を悪化させてしまい9ホール(6オーバー、42)で棄権を表明し。以降ツアー競技から長期離脱となっていた。

今週火曜日の公式インタビューでタイガーは、自信満々の表情で近況を語った。「主治医のOKをもらい、2週間前から練習を再開しました。ショットの切れ味、出球のライン取りはとてもいいんです。体調もここ数年で一番良い状態です」。

タイガーの初日は3バーディ、1ボギーの2アンダー「68」。初日8アンダー「62」をマークした、トーナメントリーダーのアダム・スコットとは6打差の18位タイで初日のプレーを終えた。タイガーはフェアウェイキープ率が35%と苦しんだが、前半3番(5メートル)、9番(8メートル)と良いパーパットを沈めて良い流れをキープ。長年使っていたスコッティキャメロンGSS素材の“ニューポート2”モデルのパターに戻してきたタイガーは、緩みのない切り返しでボールの芯を捕らえることができていた。イーブンパーでターンしたタイガーは10番、11番でショートアイアンの2打目をピンに絡めてバーディを奪った。14番は、ピン左奥のバンカーに捕まってしまいパーセーブを逃がしてしまったが、16番で10メートルのバーディパットを沈め2アンダーとした。

<ついに新スイングが体に馴染んできた>

昨年8月からスイングのアドバイスをしているショーン・フォーリー氏と新しい動きを取り入れてちょうど1年が経った。体重移動と頭の動きを最小限に抑えてよりコンパクトにボールにエネルギーを伝えるというフォーリー理論をタイガーは上手く順応させてきている。

フォーリー理論に洗脳されていると感じたのは、タイガーがプレー後のインタビューで次のように説明していた時だ。「コンプレッション(ボールを潰す感覚)が優れていました。ボールの芯を捕らえる感触がとても良いんです」、「トランスファーオブエネジー(ボールに伝えるエネルギーの移行)ができているので強振する必要がないんです」、「楽しいですよ、強く振る感じはないのですが、ボールはしっかり飛んでいます」。フォーリー理論に対しては反論するアナリストも多い中、私の意見としては、タイガーはとても良い方向にバージョンアップができていると感じる。

今日のスイングを見て「あれ、スイングスピードを落ちたね?とか、スリークォーター(4分の3)?またはテニスに例えるとセカンドサーブ的な動きと感じた方も多いと思うが、タイガーのクラブヘッドはしっかりと走っていた。以前は腕の振り、腰の回転を激しくしていたが、上半身と下半身が調和していないことも多く、右に大きくプッシュアウトするドライバーショットが多かった。今日ももちろん左右にミスもあったがスイングリズム、フィニッシュのバランス感覚に安定感があった。初日は、アイアンショットが狙い所よりも5ヤードから8ヤード前後飛んでしまった場所が随所に見られたが、明日からはこの距離のコントロールを掴んでいけばバーディの数は間違いなく増えていくだろう。

<課題はバンカーショット>

課題、問題点を挙げるとすればアプローチとバンカーショット。以前よりも左体重で構える分、ダウンスイングでもう少しロフトを使うようにするのと、ボールからもう少し離れて立ってシャフトのアングルをフラットにしないとインパクトゾーンが安定しないはず。今日も6番のバンカーショットはパーセーブになったがインパクトの音が信じられないぐらい酷かった。必要以上にダフっていた音になっていた。優勝争いに絡むにはボギーの数を最小限に抑えることが条件。明日以降、ピンの位置も厳しくなっていくのでタイガーにとって、このバンカーセーブ率が今週の勝負の分かれ道になるような気がする。

■ ラウンドデータ

68(2アンダー)
フロントナイン35(イーブンパー)
バックナイン33(2アンダー)

・バーディ:3ホール
・パー:14ホール
・ボギー:1ホール

・パー3:通算イーブンパー
・パー4:通算1アンダー
・パー5:通算1アンダー

・フェアウェイキープ率:35.7%(14ホール中5ホール)
・パーオン率:66.7%(18ホール中11ホール)

・合計パット数:27パット
・平均パット数(パーオンホールのみ):1.75パット

・バンカーセーブ:2回中1回1パットセーブ(50%)
・ドライビングディスタンス(計測指定ホール2番312ヤード、16番319ヤード):
2ホール平均315.5ヤード

解説/アンディー和田
(ゴルフチャンネルトーナメント解説者)

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