【GDOEYE】T.ウッズが認める“アスリート化”の進むPGAツアー
今季の米国男子ツアー第13戦「アーノルド・パーマーインビテーショナル」は24日(木)、フロリダ州ベイヒルGC&ロッジで開幕。同大会2年ぶりの出場となったタイガー・ウッズの予選ラウンドのペアリングが注目を集めている。
ウッズと同組でラウンドするのは前週の「トランジションズ選手権」で初優勝をマークしたゲーリー・ウッドランドとダスティン・ジョンソン。タイガーはツアー屈指の飛ばし屋の2人とプレーしている。193センチのジョンソン、肩幅が広く、上半身の筋肉がウエアに浮き出るウッドランドと並ぶと、ウッズが少し小さく見えてしまうから驚きだ。
学生時代の多くの時間をゴルフとともに、バスケットボールと野球に費やし、大学時代もプロバスケットボール選手を目指していたウッドランド。ジョンソンも高校時代はバスケットボール選手としてもその名を知られ、既に中学生のころにダンクシュートができたという逸話もあるほど。彼らのような身体能力をもった若手の台頭をウッズは「これは新しい時代の幕開けだ」と表現した。
体力や技術のほかに、集中力、判断力、柔軟性や動作の再現性などスポーツ選手にとって必要な能力は数多い。すべてにおいてゴルファーが他のスポーツ選手に劣っているとは思わないが、スピードやパワーといった基本的な運動能力の平均値は、バスケットボールや野球選手の方が上をいくのだろう。事実、ウッズも「彼らが芯でボールをヒットしたら、絶対に彼らの方が飛ぶ。僕は彼らほど体も大きくないしね」と認めている。
開幕前日の公式会見でウッズはこう話した。
「僕がPGAツアーに出てきた頃、僕より飛ぶ選手はジョン・デーリーしかいなかった。でも今はどうだい、300ヤード飛ばなかったら(平均飛距離のランキングで)15位にも入らない。ゴルフが変わってきたんだ。バスケットボールをしていた彼らがゴルフをプレーするようになった。我々ゴルファーは、いよいよアスリートになっていく。彼らはダンクだってできる。野球やサッカーでも大学1部リーグのレベルでプレーできるような選手たちだ。でも、彼らはそれを選ばず、今ゴルフをプレーしている」
ちなみに、ウッズはこの日、ドライバーショットではウッドランドに30ヤード、ジョンソンに45ヤード置いて行かれる場面もあった。しかし、1オーバー、31位タイのウッズに対し、両者のスコアはともに5オーバーの87位タイ。ゴルフは体力だけではダメということも示しているのだが。
それはさておき、ジョンソン、ウッドランドともに1984年生まれの26歳。ウッズが初めてマスターズを制した97年当時は12歳だった。将来の夢を描く時期に、“規格外”のパワーや勝負強さを持つヒーローが彗星のごとく現れ、世界のスターになった。アスリート化が進んだ発端、その新時代を切り開いた先駆者は、やはりウッズ自身に他ならないのではないだろうか。(編集部・桂川洋一)