大統領に届け!J.ベガスがベネズエラ人初優勝!
カリフォルニア州PGAウェスト(パーマーコース)他3コースで行われた米国PGAツアー第3戦「ボブホープ クラシック」で、ルーキーのジョナサン・ベガスが初優勝を飾った。昨年のネイションワイドツアーで7位となり、今季からPGAツアーに昇格したベネズエラ人初のツアーメンバーは自身通算5戦目の出場で勝利の味に酔いしれた。
ビル・ハースとゲーリー・ウッドランドとの三つ巴のプレーオフ。1ホール目でハースが脱落し、2ホール目の10番(パー4)。ベガスはティショットを左の池に入れながらも、あきらめることなく3オンに成功した。そしてウッドランドがフェアウェイからの第2打、グリーン右のバンカーからの第3打をミスしてパーを逃した直後、パーパットを沈めて全力でガッツポーズ。
「夢がかなった。なんともいえない気分だ。すごく興奮している」。グリーン上で母国の国旗を掲げ、190センチの巨体が揺れた。
サッカーが国民的スポーツのベネズエラでは人々のゴルフへの関心が低い。近年「ゴルフは富裕層だけのスポーツにすぎない」というウーゴ・チャベス大統領の批判の標的にされ、国策によりここ7年間で6コースが閉鎖されている現状もある。だが、決して裕福な家庭に生まれたわけではなく、石ころとホウキでゴルフを始め、プロになるために英会話もままならないまま、親元を離れてヒューストンへ移り住んだベガスには納得がいかない。世論に一石を投じるため、以前から大統領と話し合いをしたいと表明してきた。
「母国の人々の、このスポーツへの気持ちが変わっていくことを願っている。PGAツアーで勝つことができるってことをみんなに知ってほしい」。快挙を成し遂げた26歳は、豪傑のようないでたちで、切実な思いを吐き出した。
これで4月のマスターズへの出場権も獲得。「マスターズは、父さんやアメリカにいる友達の夢だったんだ。みんな『死ぬまでにマスターズに連れて行ってくれよ』って言っていたから」。92ホールに及ぶ激闘の末に決めた4メートルのウイニングパットは、ベネズエラゴルフ界の新たな歴史を切り開くかもしれない。