【GDO EYE】「全米プロ」最終ホールで起こった悲劇
海外男子メジャーの今季最終戦「全米プロゴルフ選手権」の最終日は、最終ホールでも決着がつかずプレーオフに突入した。プレーオフは通算11アンダーのバッバ・ワトソン、マーティン・カイマー(ドイツ)の2人で行われ、3ホールのストローク戦を制したカイマーが、メジャー初優勝を果たした。
実は、この2人の戦いにもう一人加わるはずの選手がいた。それは、最終組でプレーをし、通算9アンダーの5位タイに終わったダスティン・ジョンソンだった。首位に3打差、通算10アンダー2位タイでスタートしたジョンソンは、1番で1.5mのバーディを奪い、首位のニック・ワトニーがダブルボギーを叩いたため、いきなり首位タイに浮上。
その後は連続ボギーを叩くなど、優勝争いの中で出入りの激しいゴルフを展開。しかし、終盤の16番パー5、そして17番パー3では5mのバーディパットを沈めて通算12アンダーに。2位に1打差の単独首位で最終ホールを迎えた。
ティショットは右に曲がり、大ギャラリーが立ち並ぶ中へ。悲劇はここで起こってしまう。グリーン方向にいたギャラリーにスペースを作ってもらい、2打目を放ち、このホールを3オン2パットのボギーとし、通算11アンダーで3人のプレーオフ突入と思われた。
しかし、ホールアウトしてクラブハウスに引き上げる時に競技委員からお呼びがかかった。「あなたは、あそこのバンカーでソール(クラブを地面につけること)しましたよね?」。スコアカード提出所では、ビデオの映像も見せられたジョンソンは「確かに」と認めるしかなかった。というよりも、2打目地点がバンカーだという認識がなかったのだ。
プレーオフ中に現場検証を行ったが、そこはギャラリーが入り込んでいるため、枯れた芝やゴミ、空き缶などが散乱する状態で、一見バンカーというよりは荒地。しかし、このコースには1000個以上のバンカーが点在することはジョンソンも知っていたはず。せめて、その場所がソールをしても良いのかを事前に競技委員に確認すべきだった。
メジャー戦の大詰めで、さらに、ギャラリーを掻き分けたため、その周りの状態がわからず、気持ちだけが昂ぶってしまったのだろう。今年の「全米オープン」では、最終日を2位に3打差の単独首位でスタートし、早々に脱落してしまったが、今回はまさかの最終ホールで大どんでん返し。バンカーだらけのウィスリングストレイツならではの悲劇となってしまった。(編集部:本橋英治)