「価値があるのは“ノーマネー”大会」 ラームが感じた五輪の重み
◇パリ五輪 男子 最終日(4日)◇ル・ゴルフ・ナショナル(フランス)◇7174yd(パー71)
「試合を終えて、こんな気分になったのはいつ以来だろう」。首位から出たジョン・ラーム(スペイン)は、後半にスコアを崩して通算15アンダー5位で終了。「自分自身を失望させただけでなく、国のために結果を残せなかったのは、ずっと辛い」と初出場のオリンピックに苦い記憶を刻んだ。
10番を終えて通算20アンダーまで伸ばして後続を引き離したが、11番から連続ボギー、14番(パー5)はダブルボギーと失速。3位タイで迎えた17番からも連続ボギーを叩き、メダル獲得のチャンスを失った。
この一週間、何度となく「オリンピックはどのような意味を持つのか」を問われてきたが、その答えは負けたからこそ明確になった。「メジャーではないが、国を代表するのは究極の賞」。ラームにとってはオリンピックと、2年に1度賞金なしで行われる欧米チームの対抗戦「ライダーカップ」が大きな意味を持つと言う。
今季からLIVゴルフを主戦場にしたが、「キャリアのなかで価値のある大会は“賞金を稼げないイベント”。オリンピックとライダーカップがそれにあたる」と話す。今週も優勝のチャンスを失っても、メダル獲得に向けて最後まで3位入りを目指して戦った。
「この大会が自分にとってどういう位置づけか、メダルを獲得するよりもずっと深く理解できたと思う」と、スペイン国旗を掲げて応援するギャラリーの期待に応えられなかった無念を胸に刻んだ。
同じく5位でメダルを逃したロリー・マキロイ(アイルランド)も、ライダーカップと並べて国を背負うことの価値について言及した。
「いまゴルフという競技がいかに“クソ”みたいなものになっているか、そして、最も純粋な競技であろうこの2大会について考えてみてほしい。我々は賞金のためにプレーしているわけではない。今週は、すべての選手が素晴らしい経験をしたと思う」と話した。
東京五輪で金メダルを獲得したザンダー・シャウフェレ(米国)は、首位から出ながら「73」と崩れて9位で終了。2大会連続でのメダル獲得には届かなかったが、同じく星条旗を背負ったスコッティ・シェフラーの金メダル獲得を「とてもうれしく思う」と祝福した。
自身のプレーについては「本当に残念」と悔いが残ったが、「これから大きな試合が控えている。良い状態に戻すにはどうしたらいいか。動画を見直す必要があるし、クリス(コーチのクリス・コモ氏)に電話するつもりだ」と、2週後の「フェデックスセントジュード選手権」から始まるプレーオフシリーズ3試合に向けて切り替えた。