誕生日に“失格宣告”の苦い記憶も 復活ビジェガスがマウイで2位発進
◇米国男子◇ザ・セントリー 初日(4日)◇プランテーションコースatカパルア(ハワイ州)◇7596yd(パー73)
これまで前年のツアー優勝者に限られていた(2021年を除く)本大会に出場するのは、2015年以来。カミロ・ビジェガス(コロンビア)は、昨年11月「バターフィールド バミューダ選手権」で9年ぶりの復活Vを遂げて久々にハワイ州マウイ島へ戻ってきた。
「最高の気分だ。戦える場所を失い、プロゴルファーという仕事を失う恐れもある。だからここにいられること、ビッグボーイだちと一緒に戻ってこられたことがうれしい」。エリートフィールドへのカムバックにテンションを上げるものの、当地で刻まれた記憶はちょっとほろ苦いものだったりする。
開幕前日のロッカールームでコリン・モリカワらと盛り上がったのは、2011年大会のこと。29歳の誕生日だった2日目の朝、失格を告げられた。問題となったのは、初日15番(パー5)でグリーンサイドから打ち上げるアプローチが傾斜で戻されたシーン。ガックリと肩を落とすビジェガスは、そのショットで削れたターフをボールが足もとに転がってくる間にクラブで取り除いてしまった。
次のショットをほぼ同じ場所から打ち直す形になったが、ゴルフ規則11.3「動いている球に影響を及ぼすルースインペディメントを故意に取り除くことの制限」の違反に該当するプレー。それに気づかず、本来「9」とすべき15番のスコアを「7」として提出。テレビ中継視聴者から指摘を受けた大会側が翌朝本人に事情を聞き、過少申告による失格が決まった。18年からテレビ視聴者からの指摘に基づきルール違反の裁定を行う運用が見直される以前ならではの一幕でもあった。
当時を振り返り、「ちょっとファンキーなルールもあって、そうなった」とポツリ。失格後に中継局の女性アナウンサーからお祝いのバースデーケーキをもらった、甘いようで苦いエピソードも、今となっては笑い話だ。この日はその15番でグリーン手前から3打目をしっかり寄せてバーディを奪うなど後半だけで7バーディを量産し、8アンダー「65」で1打差2位発進。「ドライバーが良くなかったけど、パターが“熱かった”。最後の18番もナイスパットだったね」とご満悦だった。(ハワイ州カパルア/亀山泰宏)