賞金シード前進も視野 メジャー初出場の安森一貴が狙う「全米OP」の再現

◇メジャー最終戦◇全英オープン 事前（17日）◇ロイヤルリバプール（イングランド）◇7383yd（パー71）

生まれて初めての海外ゴルフがメジャーの大舞台。「いきなりメジャーっていうのもすごいですね」と朗らかに笑う安森一貴からは、気後れしているような様子は見られない。開幕3日前の月曜日に初めてコースを回り、「練習日からギャラリーさんもたくさんいて、毎ホールすごく楽しいです」と18ホールのプレーを振り返った。

2021年のツアーデビューから7戦目となる5月「ミズノオープン」で優勝争いを演じ、キャリアベストの3位フィニッシュ。初優勝こそ逃したが、全英出場権が与えられる上位4人に入り初の海外メジャー出場を決めた。

最終18番（パー5）のグリーンに上がる前には、周囲の巨大スタンドをスマホで撮影。ホールアウト後の移動途中にはちょうどロリー・マキロイ（北アイルランド）がティショットを打つ場面に出くわし、急いでスマホを取り出して動画に収めた。そんな刺激的な環境は、25歳に新たな気持ちを芽生えさせている。「今までは日本にいたいと思っていたけれど、こういう場所で間近でスーパースターを見て、一緒に戦いたいと思えるようになった。まずは日本ツアーでシードを獲ることを目標にして、おいおいメジャーやPGAツアーに出られる選手になりたい」

今週の結果は、そんな初シード確保に大きく前進する可能性も秘めているだけに気合は十分だ。海外メジャーの獲得賞金額は国内ツアーの賞金ランキングに加算され、高額賞金のメジャーは現在41位の同ランクを引き上げる絶好の機会となる。ことしの賞金総額は、大会史上最高の1650万ドル（約22億8392万円）に増額。1カ月前の「全米オープン」で20位と健闘した永野竜太郎は20万152ドル（約2839万円）を獲得し、ランク65位以内の賞金シードを早くも確定させた例に続きたい（当該シーズン試合数の半数＝13試合の出場が条件）。

初めて体験した長時間のフライトによる影響か、体の固まりを感じるスイングは本調子とは言えない。「まだ2日あるので日本の調子に戻したい」と、好調を自負するシーズン前半戦の状態に戻すことが開幕までの優先課題。「リンクスは得意」という相性も生かし、メジャーでもサプライズを起こせるか。（イングランド・ホイレイク／塚田達也）