ゴルフ界待望の『ライバル劇』
フィル・ミケルソン がメジャー3冠目を手に入れた今年の「マスターズ」。タイガー・ウッズ は1999年以降メジャー11大会で7つのタイトルを獲得。一方のフィル・ミケルソンも2004年から現在までのメジャー9試合で3つの栄冠に輝いている。どんなスポーツにも最高のライバル対決がもっとも”盛りあがる”秘訣。またそのライバル同士がそれぞれのピークにあれば、尚のこと注目を浴びるのだ。
前々からタイガーのライバルと位置付けられていたものの、”メジャー優勝ができない一流選手”という不名誉なレッテルを貼られ続けてきたミケルソン。しかし、現在の”真のライバル”になる幕開けは2002年の全米オープンから始まったと思われる。ニューヨーク州のベスページ・ブラックで開催された「全米オープン」。猛チャージをかけたミケルソンに大ギャラリーが沸いた。しかしながら、タイガーが3打差で逃げ切り、またしてもミケルソンの手に栄冠は届かなかったのだ。
その年のツアー選手権。タイガーと同じ組だったミケルソンは1番ティでの選手紹介で示唆を舐めさせられた。その年のメジャー2勝、その他多くの優勝を飾っていたタイガーの輝かしい功績が読み上げられている中、ついにミケルソンから『わかった、わかったもう充分だ』という声が飛び出し、タイガーも苦笑い。ギャラリーも大笑いする一幕があった。
翌年、2003年にはミケルソンの「ナイキなんて酷いギアを使いこなせるのはタイガーだけ」という論議を呼ぶ発言が問題になった。しかし、そのナイキがいかに素晴らしいギアであるか、ベイヒルでの最終日、タイガーと同じ最終組だったミケルソンは、タイガーが4打差で快勝するさまを見せつけられた。 そして迎えた2004年のマスターズ。最終日を首位、タイガーに9打差をつけて迎えたミケルソン。記者会見では、「タイガーにいままでメジャーを奪い取られてきたが、今回こそは大差をつけていて安心か」という質問に対し「嫌な気はしないね」とやっと余裕のある答えをしていた。
2005年の「フォード選手権」。ミケルソンとタイガーの一騎打ちはゴルフ史に残る激戦の末、タイガーが優勝。世界ランキング1位の座を取り戻した大会だった。あまりの激戦にミケルソンからはリベンジマッチを望むコメントが飛び出し、そのマッチが実現したのは一年後の「フォード選手権」の3日目。同じ最終組みで周った2人だったが、ミケルソンは「72」、タイガーは「68」をマークし、この勝負は完敗だった。
しかし、2006年の「マスターズ」最終日。ミケルソンは穏やかな性格のフレッド・カプルスと同じ組となり、終始リラックスムードでプレー。それが功を奏したのか、2度目のグリーンジャケットを手に入れた。前年度チャンピオンのタイガーからグリーンジャケットを受け取る様は、1960年代のパーマー、ニクラスが互いにジャケットを渡していた”ライバル劇”を彷彿させた。昨年はミケルソンからタイガーに、そして今年はタイガーからミケルソンに渡ったグリーンジャケット。2人の”ライバル劇”はどこまで続くのだろうか!?