「痛くない」松山英樹 9年目の最終戦でコース自己ベスト“63”
◇米国男子プレーオフ第3戦(最終戦)◇ツアー選手権 3日目(27日)◇イーストレイクGC(ジョージア州)◇7346yd(パー70)
最後もきっと伸ばせる。そんな確信めいたものがあった。最終18番(パー5)、右サイドの深いラフから残り258ydの2打目のシーン。松山英樹は無理をせずフェアウェイに刻んだ。「あのピンポジション(右手前)で狙ってバーディを獲った記憶がない。そのへんの距離(95yd)も調子が悪くないので獲れるかなと思っていた」。その狙い通り、ウェッジでの3打目をピンそば1mにつけバーディフィニッシュを決めた。
圧巻の8バーディ、1ボギーで記録した「63」はイーストレイクGCでの自己ベストスコア。これまで2回マークしていた「65」(2018年第3ラウンド、21年第2ラウンド)を2打更新した。日没順延となった第3ラウンドで、ホールアウトした選手のベストスコアにも「結果的には良かった」と淡々。冷静に振り返る様子、そしてスコアの伸ばし方にも“らしさ”が垣間見えた。
2つ伸ばして迎えた前半6番(パー5)、フェアウェイから打ち上げの2打目を4Iでピン左7mをとらえて2パットバーディを決めた。4つ目は左サイドに池が広がる8番、残り146ydを“ベタピン”につけてタップインして奪った。「6番パー5と8番のセカンドは自信にもなるショットだった。長らくそういうショットが打てていなかったので良かった」という会心の一打が続いた。
バックナインは前日同様、1Wショットを右に曲げた10番でボギーを喫しながら、その後4バーディと再加速した。13番では残り140ydからまたタップインできる位置につけたが、「8番は気持ち良かったけれど、13番はなんか、たまたま」と結果で評価を同じにしない。バーディパットを決め切れなかった14番、218yd先のピンをドローボールで攻め込んだ2打目には心地良い感触が手にあった。
6アンダー15位からのスタートで、暫定ながら9位に順位を上げた。日に日に良くなる内容、スコアの要因は「体が痛くないというのが一番じゃないですか」と笑った。首、手首の痛みから解放され、初日のラウンド中に見せていた苦悶(くもん)の表情とは違う。
雷雲接近で中断直前にホールアウトできたことも、あすのシーズン最終ラウンドに向けては大きい。「良いプレーで終わりたいと思う。本当に痛みなく終わりたい」と願いを込めた。(ジョージア州アトランタ/桂川洋一)