一時帰国して治療も 満身創痍の松山英樹は「72ホールを目指して」
◇米国男子プレーオフ第2戦◇BMW選手権 事前情報(17日)◇ウィルミントンCC(デラウェア州)◇7534yd(パー71)
首の痛みを理由に、プレーオフシリーズの初戦「フェデックスセントジュード選手権」の欠場を決めた10日(水)、松山英樹は早々に帰国の途に就いた。日本に緊急帰国して同週末に治療。15日(月)に米国に戻り、今週のシリーズ第2戦に間に合わせようと必死だった。
開幕2日前の16日(火)に初めて回るウィルミントンCCのチェックは前半6番を終えて断念した。一度収まった痛みは完全には消えていなかった。この日のプロアマ戦はインコースをラウンド。12番(パー5)で、ウェッジでの池越えの3打目をカップインさせるイーグルで周囲を沸かせた場面もあったが、苦悶の表情を浮かべる時間のほうが目立った。
「ここ(米国)に戻ってくるまでは良かった。きょうの朝、久々にちゃんと(クラブを)振れたのが2週間ぶり。行けるかな…と思ったけれど、コースに行くと痛みが出てくる」。プレー中も首元や肩甲骨付近を時折、自らマッサージ。左手首にはテーピングも巻いていた。「先週まで、打てなくても良い状態だったゴルフはどこかに行ってしまった」のも悔しい。
PGAツアー初開催の会場はポイントランク上位70人(出場68人)のエリート選手が戦うのにふさわしい仕上がり。両サイドのラフが長く、青々と茂る。「そんなことを考えられる状況じゃない。手首もあまり良くないので、できればフェアウェイから打ちたいと思いますけど、安定性も飛距離もないのでどうしたらいいか…」と体調のことで頭はいっぱいだ。
厳しい戦いになる4日間(予選カットなし)を前に、松山は明るい材料も探そうとしている。「でも、きょうハーフ(9ホール)できたことは良かった。それ自体が2週間ぶり」とうなずいた。「やる以上は(好)スコアを出したい、上位に行きたい気持ちも強い。それ以上にゴルフができることがうれしいので」
見据えるのは引き続き、次週30人だけが出場するシーズン最終戦「ツアー選手権」(ジョージア州イーストレイクGC)で結果を残すこと。「あした18ホールできるか分からないが、できたら72ホールを目指して。この2週間まったくできていない。運動もできず、体力もないので18ホールやるのは大変だと思うけれど頑張りたいと思います」。身体が発する危険信号に神経を研ぎ澄ませて、1打を積み重ねていく。(デラウェア州ウィルミントン/桂川洋一)